2010-01-01から1年間の記事一覧
たま。 この名前に郷愁を覚える世代がある。私の通っていた小学校では、週に一度ホームルームの時間に、クラス全員で歌を歌う慣習があった。だいたいは『ランナー』や『愛は勝つ』など当時の流行歌が定番で、担任の先生の趣味で荒井由美こと松任谷由美もよく…
『9月11日』を12月6日の午後、試写で見せてもらった。今年の文化庁映画賞「文化記録映画大賞」受賞作、『ただいま それぞれの居場所』の外伝みたいな映画である。『ただいま』で紹介された人たちなど、それぞれ独自の考えのもと介護施設を運営している…
今年『アヒルの子』『LINE』という映画の公開に宣伝協力として参加した。 無名の新人監督が撮ったセルフ・ドキュメンタリー2本を同時期公開するという、一見リスクが高いと思われるこの企画。しかし、上映活動を通して感じたものの中に、いま「映画」に関わ…
このサイトでは僕は、なるたけ作家論のアプローチで評を書かないようにしている。今度の映画は監督の前作、前々作やデビュー作、あるいは影響を受けた作家の作品と似ている、似ていない……と引き比べながら、書き手が知り学んできたところに感想を落ち着かせ…
漫画家水木しげるさんの妻、武良布枝さんによる自伝的エッセイ「ゲゲゲの女房」の映画版を監督したのは、俳優としても活躍する一方、ドラマ「中学生日記」や映画『のんちゃんのり弁』(09)などの脚本を書き、『私は猫ストーカー』(09)の監督もつとめた鈴…
本誌430号のフィルメックス特集で取り上げた後、サイトでも柴田剛監督のインタビューや映画批評家萩野亮さんによる映画評を掲載してきた『堀川中立売』が、いよいよ11月20日からポレポレ東中野と吉祥寺バウスシアターで公開されます。 そこで今回は、同作で…
加瀬修一(プランナー/ライター) 初めて『ベオグラード1999』を観た時、これはナショナリズムへの拒絶反応や権力志向への嫌悪、右翼思想に対する批評的なドキュメンタリーというよりも、私小説というか映像詩というか、金子遊という1人の青年の10年間の魂…
9月19日、20日に、京都造形芸術大学(以下、京造)で、学園祭に合わせて、京造映画学科の主催による「ケンカ腰上映会」が行われた。これは11月に開催される京造映画祭の番外編企画として、映画祭で決定される全国の学生映像作品を対象とした京造アカデミー賞…
10月30日に「映画芸術」433号が発売となりました。 今号の巻頭は『海炭市叙景』熊切和嘉監督のインタビューです。佐藤泰志さんの原作を映画化すべく集まった函館の方々を中心に制作された本作。メインキャストにも、地元のオーディションで選ばれた方々が多…
ほりかわなかたちうり、と読む。 舞鶴に拠点を置くシマフィルムの「京都連続」シリーズは、皮切りとなる本作に続いて『天使突抜六丁目』(山田雅史監督)も先ごろ完成を見たが、土地になじみのないひとはまず何と読めばよいかわからないこれらのタイトルは、…
言うまでもなく、鈴木志郎康は代表的な現代詩の詩人の一人であるが、同時に個人映画の作家としても知られている。NHKのプロフェッショナルなカメラマンであった60年代の前半から八ミリフィルムで個人映画を撮りはじめて、1975年に初めての16ミリフィルム…
言うまでもなく、鈴木志郎康は代表的な現代詩の詩人の一人であるが、同時に個人映画の作家としても知られている。NHKのプロフェッショナルなカメラマンであった60年代の前半から八ミリフィルムで個人映画を撮りはじめて、1975年に初めての16ミリフィルム…
映画を見ていくつか聞きたいことがあったので、冨永監督に会ってきた。2人より、3人がいいから、冨永さんと一緒に『シャーリーの好色人生と転落人生』を作った佐藤央監督にも声をかけた。 佐藤:美波さんをキャスティングしたきっかけは? 冨永:彼女が出演…
飯村隆彦はドナルド・リチー、大林宣彦、高林陽一とならび日本の実験映画の草分けである。他の三人がその後、文学研究者や劇映画の監督など、実験映像以外の道へ進んでいったのに対し、飯村隆彦は六〇年代以降もビデオ・アート、メディアアート、映像インス…
映画でしか起き得ない大きな嘘を吐くこと、現実を突き破りうる決死のジャンプを試みているかどうかは、それだけで十分その映画の評価基準となる。もちろん、そのジャンプがきれいに着地しているのに越したことはないが、それより大事なのは、どれだけでかく…
アダルトビデオ(AV)は駅前のレンタル屋さんが数年前に閉店して以来まともに見ていないし、人気女優だったという「みひろ」の存在さえ知らなかった。そんな僕が、遠慮せずに書く。 『名前のない女たち』と『nude』。どちらもいい映画だった。 かたや…
飯村隆彦はドナルド・リチー、大林宣彦、高林陽一とならび日本の実験映画の草分けである。他の三人がその後、文学研究者や劇映画の監督など、実験映像以外の道へ進んでいったのに対し、飯村隆彦は六〇年代以降もビデオ・アート、メディアアート、映像インス…
脚本家・荒井晴彦が映画とそこに描かれた歴史的事件について語る連載「荒井晴彦の映画×歴史講義」。本連載は日本映画学校脚本ゼミの卒業生を対象にした勉強会を採録したもので、映画『無能の人』などで知られる脚本家の丸内敏治さんがともに講師役を務めてい…
9月6日(月) 『東京人間喜劇』 『東京人間喜劇』は、バルザックの小説を原作とする静止画アニメーション『ざくろ屋敷』(06)で注目された新鋭、深田晃司が2008年に発表したオールキャスト劇団青年団による実写作品である。三つのエピソードからなる本作は…
孤高の天才映画作家・原將人。彼は1968年麻布高校の在学中、16ミリ映画『おかしさに彩られた悲しみのバラード』を撮影・完成し、第1回東京フィルムフェスティバル グランプリ、ATG賞を同時受賞。新聞にも大々的に取りあげられ、自主映画・8ミリ映画ブームの…
7月30日(金)より「映画芸術」の最新号(432号)が発売となります。 今号では、瀬々敬久監督が自主制作という形で撮影を始め、二年がかりで完成させた4時間半の大作『ヘヴンズ ストーリー』の監督インタビューを巻頭に据え、戦後の日本人が映画をは…
孤高の天才映画作家・原將人。彼は1968年麻布高校の在学中、16ミリ映画『おかしさに彩られた悲しみのバラード』を撮影・完成し、第1回東京フィルムフェスティバル グランプリ、ATG賞を同時受賞。新聞にも大々的に取りあげられ、自主映画・8ミリ映画ブームの…
孤高の天才映画作家・原將人。彼は1968年麻布高校の在学中、16ミリ映画『おかしさに彩られた悲しみのバラード』を撮影・完成し、第1回東京フィルムフェスティバル グランプリ、ATG賞を同時受賞。新聞にも大々的に取りあげられ、自主映画・8ミリ映画ブームの…
孤高の天才映画作家・原將人。彼は1968年麻布高校の在学中、16ミリ映画『おかしさに彩られた悲しみのバラード』を撮影・完成し、第1回東京フィルムフェスティバル グランプリ、ATG賞を同時受賞。新聞にも大々的に取りあげられ、自主映画・8ミリ映画ブームの…
『童貞放浪記』の小沼雄一監督が、ピンクシナリオコンクール入選作である『イサク』(公開タイトル『獣の交わり 天使とやる』)や『ヘクトパスカル』などで頭角を現した脚本家の港岳彦さんとタッグを組んだ新作『結び目』が6月26日から公開となります。 中学…
映画評は、小学生の作文の積み立てかたで書ければ、実はそれが一番ではないかと思う。 今回の場合だと、こんな感じ。「『ねこタクシー』という映画を見ました。タクシーの運転手さんが猫となかよしになります。わたしは、とてもいいなーと思いました。どーし…
大阪での上映を終えた3月中旬頃、CO2企画ディレクターの西尾さん経由で「CO2大阪上映展について書いてほしい」という依頼を受けた。僕が指名されたのはおそらく以下の経緯があったからだと思う。 大阪上映最終日の3月3日、審査員・大友良英さんらによる今回…
東京の本格的なドキュメンタリー映画祭 去る2010年3月16日から22日の7日間、東京の「座・高円寺」にて、「第1回 座・高円寺ドキュメンタリー・フェスティバル」が開催された。国内のドキュメンタリー映画、テレビ・ドキュメンタリー計29本が上映され、一般…
『アヒルの子』 動物と映画を愛する者に悪い奴はいない 近藤典行(映画作家) 現在ポレポレ東中野で上映中の『アヒルの子』と『LINE』は「ワタシ×家族×ドキュメンタリー」というコピーが付せられ、2本同時公開中だ。2本立てではない(プログラム上も『アヒ…
終戦から20年近く経ち、日本が高度経済成長の只中にあった1966年、静岡県清水市で起きた強盗殺人放火事件、いわゆる「袴田事件」とその後を描いた『BOX 袴田事件 命とは』が5月22日から全国順次公開となります。戦後の主な冤罪事件の一つと言われるこの事件…