映画芸術

脚本家荒井晴彦が編集発行人を務める季刊の映画雑誌。1月、4月、7月、10月に発行。2016年に創刊70周年を迎えました!書店、映画館、Amazon、Fujisanほかにて発売中。

インタビュー

『禁忌』『欲動』レビュー

文・大沢 愛 『禁忌』(監督:和島香太郎) 2014『禁忌』製作委員会 『禁忌』は理性と欲望の狭間を行き来する人間を生々しく、かつ繊細なタッチで描いた力作だ。 女子校教師の浅井咲良(杉野希妃)は生徒と恋愛関係にありながら、異性の恋人と交際をしている…

山本政志監督最新作『水の声を聞く』レビュー

文:村松健太郎 序章-プロローグであって序章-プロローグではない シネマ☆インパクト第3弾について最初に書かせていただいたのが昨年3月のことになるので、シネマ☆インパクトと山本政志監督との濃いお付き合いもかれこれ1年半になる。 シネマ☆インパク…

『収容病棟』クロスレビュー<br>比嘉徹徳(思想史/精神分析)、菊井崇史(文筆/詩/写真)

比嘉徹徳(思想史/精神分析) 閉鎖環境への監禁によって従順な身体を作り出すことが、近代の規律権力のあり方であった。この病棟に収容された「狂人たち」は、建物の中庭を見下ろしながら延々その回廊を彷徨し続ける。廊下だけでなく階段にも鉄格子が張り巡…

新作映画『シンプル・シモン』劇場公開のお知らせ

2011年のアカデミー賞外国語映画賞のスウェーデン代表に選出され、国内でもSKIPシティ国際Dシネマ映画祭で審査員特別賞を受賞。その後もトーキョーノーザンライツフェスティバル2012ほか各地の映画祭で好評を得た本作が、ついに劇場公開をはたす。 2010 Naiv…

銀座シネパトス最後の支配人、鈴木伸英インタビュー

東京は銀座地区唯一の名画座として親しまれてきた銀座シネパトスが今年3月31日をもって閉館した。地下鉄銀座駅と東銀座駅の中間にある三原橋地下街にある同館は1967年、銀座地球座そして翌年名画座としてオープン。主に成人映画を上映してきたが、1988年に…

シリーズ「映画と労働を考える」第4回〈最終回〉<br>「独立映画鍋」発足インタビュー<br>土屋豊(代表理事・映画監督)<br>深田晃司(代表理事・映画監督)<br>藤岡朝子(理事・山形国際ドキュメンタリー映画祭ディレクター)

このサイトの記事のなかでも特に反響の大きかった深田晃司さんによる連載「映画と労働を考える」。今年6月、彼がこの連載で提起してきたような問題意識を共有する人たちと共に「独立映画鍋」なる組織を立ち上げた。7月23日には渋谷キノハウスでキックオフイ…

『親密さ』<br>濱口竜介(監督)インタビュー

オーディトリウム渋谷で「濱口竜介レトロスペクティヴ」が開催されている。本サイトでも取りあげた『PASSION』(08)や、韓国の俳優キム・ミンジュンを主演に迎えた『THE DEPTHS』(10)、被災者の証言を記録することに徹した震災ドキュメンタリー『なみのお…

『こっぴどい猫』<BR>今泉力哉(監督)インタビュー

ドキュメンタリー『たまの映画』(10)や青春Hシリーズ『終わってる』(11)などで頭角を現す以前から、恋に狂う人々の人間模様を鋭く描いて傑出した短篇を量産してきた今泉力哉が、現時点の集大成ともいうべき130分の長編『こっぴどい猫』を完成させた。「…

細谷隆広インタビュー<br>川向こうの映画館で(後篇)

いまや伝説の名画座と言われる、自由ヶ丘推理劇場、大井武蔵野館、中野武蔵野ホールなどで支配人を務め、一部の映画ファンからタコ支配人の愛称で親しまれた細谷隆広氏。彼がそれらの映画館で組んだプログラムはシネマヴェーラ渋谷や銀座シネパトスなど現在…

『相馬看花 -第一部 奪われた土地の記憶-』<br/>松林要樹(監督)インタビュー

タイ・ビルマ国境付近に留まった未帰還兵を追うドキュメンタリー『花と兵隊』(09)では、取材対象者との交渉過程をカメラに収め、その粘り強く泥臭い姿勢を印象づけた松林要樹。現在オーディトリウム渋谷で公開中の『相馬看花 -第一部 奪われた土地の記憶…

『先生を流産させる会』<br/>内藤瑛亮(監督)インタビュー

おびただしい量の牛乳と血のりにまみれた女子高生たちのダンスが忘れがたい、『牛乳王子』(08)の内藤瑛亮監督。待望の初劇場公開・長編作品は、2009年に実在に起きた事件を元にした『先生を流産させる会』であった。学園生活という舞台や「性」への意識な…

『僕は人を殺しました』<br/>坂井田俊(監督)インタビュー

なぜ、なんのためにこんな目に遭わされなければならないのか。男(川瀬陽太)は突然、暴力の洗礼を浴び、肉体の苦痛と屈辱の末に次第に人間性を失い、ついには理不尽にも殺人を強要される……。直截なタイトルから受ける印象そのままに、いっさいの説明や背景…

『Elements of Noise Arc』 <br/>柴田剛、日野繭子、斉藤洋平インタビュー

インディペンデントをメインに活動する映画監督の数は増えてきたが、その中でも柴田剛は一作ごとに他の映画監督とは一線を画す発想のスケールの大きさでもって、「映画」という概念に揺さぶりをかけようと企んでいる。そんな柴田剛が新たなプロジェクト「Ele…

細谷隆広インタビュー<br>川向こうの映画館で(前篇)

いまや伝説の名画座と言われる、自由ヶ丘推理劇場、大井武蔵野館、中野武蔵野ホールなどで支配人を務め、一部の映画ファンからタコ支配人の愛称で親しまれた細谷隆広氏。彼がそれらの映画館で組んだプログラムはシネマヴェーラ渋谷や銀座シネパトスなど現在…

『生きてるものはいないのか』<br>石井岳龍(監督)インタビュー

『五条霊戦記 GOJOE』(00)以来、じつに12年ぶりとなる石井岳龍(聰亙改め)監督の長編が公開される。現在、監督が教鞭を取る神戸芸術工科大学を本拠とし、スタッフ・キャストに学生をまじえ撮り上げた本作。原作は、劇団「五反田団」を主宰する劇作家・演…

『ひかりのおと』 <br>山崎樹一郎(監督) 桑原広考(プロデューサー)インタビュー

近年、インディペンデント映画勢の活躍が目立つ東京国際映画祭「日本映画・ある視点」部門。『ひかりのおと』はそこで注目を集めた作品の一本だ。監督自身がトマト農園を営み、生活する岡山県真庭市を舞台に撮影し、製作過程でその地の人々が多く携わり、ま…

『アントキノイノチ』 <br>瀬々敬久(監督)公開インタビュー

新作『アントキノイノチ』の公開に合わせ、11月9日にタワーレコード新宿店で瀬々敬久監督の公開インタビューを行いました。既に11月19日から全国公開されている本作は、心に傷を負った若い男女が遺品整理の職場で出会い、他者との絆、死者との繋がりに気付い…

中国インディペンデント映画祭2011 <br>中山大樹インタビュー

2008年より開催され、今年で3回目を迎える中国インディペンデント映画祭。近年特に話題を呼んでいるワン・ビンをはじめ、フィルメックス、山形国際ドキュメンタリー映画祭などでも、何人かの監督の作品が上映され、注目を集める中国インディペンデント映画。…

シマフィルム「京都連続」シリーズ第二弾『天使突抜六丁目』 <br>瀬戸夏実(主演)、山田雅史(監督)インタビュー

柴田剛監督の『堀川中立売』に続いてシマフィルムが仕掛ける「京都連続」シリーズ第二弾『天使突抜六丁目』が11月19日から新宿・K's cinemaで公開される。映画は京都に実在する「天使突抜」という町をタイトルに冠しながらも、その町には実在しない「六丁目…

『姉ちゃん、ホトホトさまの蠱を使う』<br/>大工原正樹(監督)長宗我部陽子(女優)インタビュー

『姉ちゃん、ホトホトさまの蠱を使う』(10)は、映画美学校フィクション・コース高等科のカリキュラムの一環で、講師である大工原正樹が生徒をスタッフに監督した作品である。主演は高橋洋監督『狂気の海』(06)や井土紀州監督『土竜の祭』(09)など近年…

「Image.Fukushima」Vol.2 <br>三浦哲哉(映画批評/大学講師)実行委員会会長インタビュー

3月11日の東日本大震災から約半年を迎えました。 現地で多種多様な問題が噴出しているなか、アーティストたちの各種の復興支援のイベントや、ボランティアが行われ、また、表現者が多様な試みをしているのは周知の通りです。 いま、福島と東京をまたにかけ、…

金子遊のこの人に聞きたい VOL.17 <br>萩原朔美(映像作家)インタビュー <br>「天井桟敷の演出家から実験映像の作家へ」

映像作家の萩原朔美は、舞台の演出家、エッセイストとしてもよく知られている。60年代後半から実験映画を撮りはじめ、70年代以降は、構造映画、映像書簡、映像エッセイなど多様な広がりをみせるスタイルで、長年にわたり日本の実験映像シーンを牽引してきた…

「CALF 夏の短編祭」 <br>土居伸彰(アニメーション研究・評論)・廣瀬秋馬(プロデューサー)インタビュー

2010年5月より活動を開始したレーベルCALF。大山慶、和田淳、TOCHKA、水江未来といった近年評価の高まっている短編アニメーション作家、実験映像作家の作品集を国内外に向けて販売しつつ、上映イベントの企画や劇場向けの配給などもおこなっている。 今週9月…

『わたしたちの夏』<br>福間健二(監督)インタビュー

福間健二監督は新作『わたしたちの夏』の中で、かつて日本人が直面した被爆体験を、今を生きる非当事者の視点から捉えなおそうとしています。そこで採用される手法は一筋縄ではなく、見方によっては難解な印象を受けるかもしれません。しかし前作の『岡山の…

相原信洋追悼上映イベント「DREAMS」トーク

アニメーション作家・相原信洋は、60年代にNFBC(National Film Board of Canada)のノーマン・マクラレンや、国内の個人制作する映画作家たちに影響を受け、8ミリカメラで自作の撮影をはじめました。初期は実験的な映画や、セルフドキュメント風の写真アニ…

『東京公園』 <br>青山真治(監督)インタビュー

2007年の『サッド ヴァケイション』以来、4年ぶりとなる青山真治監督の新作長篇『東京公園』が公開中だ。北九州の地で神話的世界が繰り広げられる前作に対し、東京を舞台とした今作では、カメラマン志望の大学生を中心とした人間模様がユーモアも交えて軽や…

『緑子/MIDORI-KO』 <br>黒坂圭太(アニメーション作家)インタビュー 後編 <br>『みみず物語』から長編『緑子/MIDORI-KO』まで

手描きアニメーション、実写、写真アニメーション、クレイアニメなど、様々な技術を駆使する孤高のアニメーション作家、黒坂圭太。彼の実験的なアニメーションはアヌシー、オタワなどの国際アニメーション映画祭や各種コンペティションで受賞、様々な映像祭…

『緑子/MIDORI-KO』 <br>黒坂圭太(アニメーション作家)インタビュー 前編 <br>アニメーションとの出会いと初期の作品

手描きアニメーション、実写、写真アニメーション、クレイアニメなど、様々な技術を駆使する孤高のアニメーション作家・黒坂圭太。彼の実験的なアニメーションはアヌシー、オタワなどの国際アニメーション映画祭や各種コンペティションで受賞、様々な映像祭…

『まなざしの旅 土本典昭と大津幸四郎』 <br>特集上映「反権力のポジション キャメラマン大津幸四郎」 <br>大津幸四郎(キャメラマン)×鎌仲ひとみ(ドキュメンタリー監督)トーク

代島治彦監督による『まなざしの旅 土本典昭と大津幸四郎』(10)は、水俣を撮り続けたことで知られる、日本ドキュメンタリー映画の巨人・土本典昭監督へのインタビューと、土本監督や小川紳介監督などの撮影を長年つとめてきた大津幸四郎キャメラマンへのイ…

『軽蔑』 <br>廣木隆一(監督)、鍋島淳裕(撮影)、森重晃(プロデューサー)トーク

柳町光男監督『火まつり』以来、26年ぶりの中上健次原作映画となる『軽蔑』。本作はまた、『ヴァイブレータ』『やわらかい生活』以来、廣木隆一監督と森重晃プロデューサーがタッグを組んだ注目作でもあります。 和歌山県新宮市にある建築家、西村伊作の記念…