映画芸術

脚本家荒井晴彦が編集発行人を務める季刊の映画雑誌。1月、4月、7月、10月に発行。2016年に創刊70周年を迎えました!書店、映画館、Amazon、Fujisanほかにて発売中。

2008-03-01から1ヶ月間の記事一覧

『受験のシンデレラ』<br>武田樹里(脚本)インタビュー

受験アドバイザーとしても知られる精神科医の和田秀樹氏が、「映画を撮りたい」という高校時代からの夢を実現したのが『受験のシンデレラ』です。この作品はその清清しさが多くの観客の支持を得て、2007モナコ国際映画祭で最優秀作品賞・最優秀主演男優…

「桃まつりpresents真夜中の宴」<br>大野敦子(監督)インタビュー

「ガンダーラ映画祭」や「背徳映画祭」など、最近はインディーズ映画の特集上映が盛んに行われ、そうしたイベントの中から傑出した作品が出てくることもしばしばです。今回取り上げる「桃まつりpresents真夜中の宴」は、そもそも映画美学校の同期だった女性…

■映画館だより『死化粧師オロスコ』<br>全ては「作品」と対峙する事から始まる。

気だるい音楽と共にカメラが街を進む。色褪せた風景。 作品はどこか夢の中のような雰囲気を漂わせて始まる。 しかし、それは一変する。 仕事場に運び込まれる遺体。オロスコは一気に腹を裂く。内蔵を引き出し水で洗う。 臓器を細かく切りホルマリンをよくま…

■試写室だより『Girl's BOX ラバーズ☆ハイ』『アクエリアンエイジ 劇場版』『カクトウ便』<br>春休み! アイドル映画レビューまつり‘08

女性アイドルが何人も出てくる『Girl's BOX ラバーズ☆ハイ』に、若い男の子たちがやはりたくさん出てくる『アクエリアンエイジ 劇場版』。春休みシーズンに劇場公開される二本の邦画を試写で見て、いろいろと刺激を受けた。積極的にいいところを強調して紹介…

■試写室だより『ノーカントリー』<br><世界の外部の闇>を映画は露見させる

1980年代のテキサスで、モス(ジョシュ・ブローリン)はある時多くの死体が散乱する殺人現場に遭遇するが、そこで大量のヘロインと200万ドルの大金をみつける。 ヤバイ金であることを知りつつもモスは金を持ち去るが、彼を異様な、まるで神か悪魔のよ…

■試写室だより『ジェリーフィッシュ』<br>今年のベスト有力候補

07年のカンヌ国際映画祭カメラ・ドール(最優秀新人監督賞)受賞作と『アワーミュージック』の主演女優が出演という前情報のみで観てみた作品だが、これが素晴らしかった。イスラエル映画で、監督は公私ともにパートナーであるエドガー・ケレットとシーラ・…

「アラブ映画祭2008」は3月17日から<br>石坂健治(プログラム・ディレクター)インタビュー

現在、日本では数多くの映画祭が開催されていますが、映画祭の評価を左右する最も大きなポイントは上映される作品の選択=プログラミングではないでしょうか。世界中で製作された無数の作品から選びだすためには、映画の知識はもちろん、ジャーナリスティッ…

川崎アートセンター アルテリオ映像館<br>野々川千恵子(ディレクター)インタビュー

例えば、05年に封切られた映画の公開状況を主要都市ごとに見てみると、最も多い東京(区部)が98%、最も低い下関市は3%と、全国的に上映環境の格差が広がっていることがわかります。地方の映画上映を支えるのは近年増加するシネコンですが、その一方で単館…

■映画館だより『ファーストフード・ネイション』<br>多角的な視点から描かれた、出口無しの煮詰まった世界

リチャード・リンクレーター監督の『ファーストフード・ネイション』は、エリック・シュローサーのベストセラーにもなったノンフィクション「ファストフードが世界を食いつくす」を映画化したもの。 アメリカを覆う大手ハンバーガーチェーン(ファーストフー…