映画芸術

脚本家荒井晴彦が編集発行人を務める季刊の映画雑誌。1月、4月、7月、10月に発行。2016年に創刊70周年を迎えました!書店、映画館、Amazon、Fujisanほかにて発売中。

2009-01-01から1年間の記事一覧

第一回映画芸術評論賞が決定

第一回映画芸術評論賞は今年8月末日締切(当日消印有効)で応募作品を受け付けた。応募総数は20本、審査員は赤地偉史(本誌読者)、寺脇研(映画評論家)、稲川方人(詩人・「映画芸術」編集部)、荒井晴彦(脚本家・「映画芸術」編集長)の各氏が務めた。…

単行本「映画館(ミニシアター)のつくり方」発売中!

2004年~2008年まで「映画芸術」に連載された「映画館通信」をもとに構成された単行本「映画館(ミニシアター)のつくり方」(AC Books刊)が発売になりました。全国各地でミニシアターの運営に携わる方々の熱い思いが詰まった一冊です。将来、映画館経営に…

映芸シネマテークvol.5『怒る西行』トーク <br>沖島勲(監督)×稲川方人(詩人・本誌編集部)

監督、脚本家として長年のキャリアを持つ沖島勲さんが、若いスタッフ数人とわずか数時間のうちに撮り上げた映画『これで、いーのかしら 怒る西行』。先日行われた「映芸シネマテークvol.5」では、来年1月から始まる劇場公開に先駆けて、本作品を上映しまし…

金子遊のこの人に聞きたいvol.7 <br>DVD「伊藤高志映画作品集」 <br>伊藤高志(映画作家)インタビュー

2009年12月18日に、DVD『伊藤高志映画作品集』が発売される。これで現在までの伊藤高志の映画のほとんどがDVD化されることになった。特に1998年のビデオ化『イルミネーション・ゴースト』に収録されなかった作品が入っていることが大きな魅力である。…

試写室だより『ライブテープ』 <br>恥ずかしさとともに表現することで生きていかなくちゃね <br>近藤典行(映画作家)

「レビューを綴るつもりが ラブレターになって ラブレターを作るつもりが ファイルに保存したまま」なんて影響されまくって替え歌なんかでごまかして困った。個人的な感慨、共感がでかすぎて批評になりうることなんて書ける気がしない。正直言ってここだけの…

試写室だより『ライブテープ』 <br>それぞれの「ライブテープ」は回っている。 <br>加瀬修一(ライター)

松江哲明監督の最新作『ライブテープ』は、2009年1月1日に吉祥寺の八幡神社から井の頭公園まで、ミュージシャン・前野健太が歌い歩く姿を、miniDVで収録できる時間ギリギリ(80分)まで1カットで撮影した異色の映画だ。なぜ一見何の工夫も無い…

試写室だより『ライブテープ』 <br>吉祥寺にドキュメンタリー撮影を見た <br>若木康輔(ライター)

桃色の着物姿の、まるでお人形のように可愛らしい女性が神社でお参りしている。行列が出来ているところを見ると初詣らしい。映画は、ここから始まる。 サングラスをかけた男が出ずっぱりで歌い通す、と評判が耳に入った上で見たから意外な幕開けだったが、綺…

ゆうばり国際ファンタスティック映画祭から海外マーケットへ続く道~<br>NAFF 2009 IT PROJECT 参加者インタビュー<br> 入江悠(『SRサイタマノラッパー』監督)<br> 綿野かおり(ゆうばり国際ファンタスティック映画祭東京事務局)<br> 相原裕美(ビィ・ウィズ代表)

ゆうばり国際ファンタスティック映画祭が、オフシアター部門でクランプリに輝いた監督に賞金を授与して次の作品の制作につなげるという体制になって2年目。今年は『SRサイタマノラッパー』の入江悠監督がグランプリを受賞。7月に行われたプチョン国際ファン…

映芸シネマテークvol.4『百年の絶唱』『微温(ぬるま)』トーク<br>井土紀州 今泉力哉 斎藤久志 荒井晴彦

テレビ局製作の映画が増え、シネコンが濫立する状況のなかで、商業映画が均質化してきているのではないか。こうした傾向に対するカウンターパワーとして、インディペンデント映画(自主映画)にひとつの可能性を見出すことができるのではないか。そのような…

映芸シネマテークvol.5の上映作品は沖島勲監督最新作『これで、いーのかしら。(井の頭) 怒る西行』に決定!!

12月1日(火)に開催される「映芸シネマテークvol.5」の上映作品は、あの『一万年、後‥‥。』の沖島勲監督が放つ最新作『これで、いーのかしら。(井の頭) 怒る西行』に決定!! ポレポレ東中野での公開(1月9日~)に先駆けての先行上映となります。入場料は…

闘うドキュメンタリー映画時評(2)<br>「山形国際ドキュメンタリー映画祭2009」<br>金子遊(映画批評家)

スケッチ・オブ・ヤマガタ 去る10月8日から15日にかけて、2年に一度のドキュメンタリー映画の祭典「山形国際ドキュメンタリー映画祭」が、山形市において開催された。映画祭は一つの怪物的な現象であろう。山形市民会館大ホールと小ホール、山形市中央公民館…

試写室だより『行旅死亡人』 <br>川の流れを見つめていますか <br>若木康輔(ライター)

キキキ、キーッ……ガシャン! 擬音にすると交通事故みたいな感じで、『行旅死亡人』を見てしまった。今年の秋はトラブルを抱えた仕事がない、数年振りに静かな良い秋だ、と喜んでいるとこんなショックが待っている。『百年の絶唱』も『ラザロ-LAZARUS-』も…

『ドキュメンタリー 頭脳警察』 <br>瀬々敬久(監督)インタビュー

89年に『課外授業 暴行』でデビューした後、サトウトシキ監督らとともに「ピンク四天王」と呼ばれ、97年の『黒い下着の女 雷魚』でカリスマ的人気を決定的にした瀬々敬久監督。近年は『泪壺』『フライング☆ラビッツ』(ともに08)『感染列島』(09)など活躍…

オルタナティブ・シネマ宣言――『TOCHKA』『谷中暮色』『行旅死亡人』 <br>松村浩行、舩橋淳、井土紀州トーク

テレビ局主導の製作委員会による映画が増え、全国にシネコンが濫立する動きと軌を一にするように、観客が話題作ばかりに集中する「一本かぶり」と呼ばれる状況が目立つようになった。一方で、映画制作を志す若者たちは上映会を開くこともなく、DVDを焼いては…

明日、10月30日は映画芸術の発売日です!

明日、10月30日に「映画芸術」本誌が発売になります。 今号では根岸吉太郎監督、田中陽造さん脚本の力作『ヴィヨンの妻 桜桃とタンポポ』に注目し、根岸監督および美術監督・種田陽平さんのインタビューを掲載。成瀬巳喜男の諸作を見据えながら、“新たな時代…

試写室だより『谷中暮色』 <br>何をどう伝えるのか <br>加瀬修一(ライター)

谷中を初めて訪れたのは、もう17年前になる。劇団第七病棟公演『オルゴールの墓』を柏湯という200年の歴史のある銭湯(廃業していた)で観た。当日券を購入すると開場まではまだ随分と時間があったので、散策を決め込んで路地に入る。当時谷中の事など…

出光真子(映画作家)インタビュー

出光真子は注目すべき映画作家であり、日本のビデオアートを牽引してきたアーティストである。60年代後半にアメリカ西海岸で実験映画を撮りはじめ、70年代初頭から、主婦やジェンダーの視点で撮ったビデオアート作品を発表し続け、国際的な評価を得るように…

『行旅死亡人』 <br>井土紀州(監督)インタビュー

商業映画の世界では瀬々敬久監督作品や『YUMENO』(鎌田義孝監督)『ニセ札』(木村祐一監督)などの脚本に携わる一方、インディペンデントの世界では映画制作集団スピリチュアルムービーズを拠点に、『百年の絶唱』『レフト・アローン』『ラザロ』などの作…

東京国際映画祭 <br>矢田部吉彦(プログラムディレクター)インタビュー

10月17日(土)~25日(日)までTOHOシネマズ 六本木ヒルズとシネマート六本木を会場に東京国際映画祭映画が開催されます。映画は好きだけど、映画祭にはあまり行ったことがないという方は意外と多いのではないでしょうか。実はかく言う私もあまり映画祭とい…

投稿映画評『ワカラナイ』 <br>まなざしの不在 <br>笠松勇介(学生)

田舎の粗末なアパートで一人暮らしをしている少年。彼は入院中の母を抱えながらも、コンビニのアルバイトで生計を立てている。母親の闘病生活のためか、家計は圧迫され日々の食事もままならない。バイト先のレジをごまかし空腹を凌いでいる。同僚も頼りには…

『サウダーヂ』<br>富田克也(監督・脚本)・相澤虎之助(脚本)新作撮入インタビュー

小誌「映画芸術」の2007年ベストテン&ワーストテンにおいて、自主映画にもかかわらず堂々9位に入った『国道20号線』。この作品は、変貌著しい国道沿いの風景のなかで、元不良のカップルが社会のシステムに絡め取られ、しだいに抜き差しならない状況へと追い…

試写室だより『あがた森魚ややデラックス』 <br>誰もこの人の絵を描けないだろう <br>若木康輔(ライター)

わたしたちのまわりに落ちる弾丸の数はだんだんふえてきたが、ノーチラス号にはまだ一発もあたっていない。 ネモ艦長がすがたをあらわした。青ざめた顔をしている。 「わたしがなにものか知っているのか、のろわれた国の船よ!」艦長はさけんだ。 (「海底二…

緊急告知!<br>「映画芸術」が京浜急行の売店で販売中です!

8月末から9月末にかけて、試験的に京浜急行電鉄内の下記8売店で映画芸術427号および428号を販売しています。この期間内の売上が芳しくない場合、今後の取引がなくなってしまう可能性が高いので、まだ購入されていない方はもちろん、既にお持ちの方もお買い…

試写室だより『犬と猫と人間と』 <br>駄目だから、希望がある <br>加瀬修一(ライター)

前作の『あしがらさん』(注1)を観た時に、飯田基晴監督って本当にいい人だと思った。もういい加減怒ってもいいだろう!って状況になっても、決してあしがらさんとの関係を切らない。時に何がそこまでと思わされるほど。上からでも下からでもない、あくまで相…

映芸シネマテークvol.3「桃まつりの収穫まつり」トークショー<br>大野敦子 青山あゆみ 沖島勲

6月8日の映芸マンスリーvol.3では、若手女性監督たちのオムニバス企画「桃まつり」をピックアップ。その上映作品の中から『感じぬ渇きと』(監督:大野敦子)『きつね大回転』(監督:片桐絵梨子)『みかこのブルース』(監督:青山あゆみ)『月夜のバニ…

荒井晴彦の映画×歴史講義・第五回<br>『人間魚雷回天』(55)×特攻

脚本家・荒井晴彦が映画とそこに描かれた歴史的事件について語る好評連載「荒井晴彦の映画×歴史講義」。本連載は日本映画学校脚本ゼミの卒業生を対象にした勉強会を採録したもので、映画『無能の人』などで知られる脚本家の丸内敏治さんがともに講師役を務め…

映芸シネマテークvol.4の上映作品が決定!!

映画芸術が主催する上映会、映芸シネマテーク(旧映芸マンスリー)も3年目に突入し、これまで以上に問題提起型のイベントを目指してがんばっていきたいと思います。 映芸マンスリーとなって4回目にあたる次回の開催日は9月1日(火)。本誌428号の特集「イン…

試写室だより『灰土警部の事件簿 人喰山』<br>映画の闇、映画館の闇 <br>深田晃司(映画監督)

どろりと黒い空の下、あたかも巨大な幽霊であるかのような古びたマンションのベランダから布団が一枚、ひらりひらりと、落ちていく。それは、何か重力とは全く別の法則に従うような気味の悪い落下で、左右に揺れる布団は闇に映え白以上に「ドス白い」。その…

7月30日より映画芸術最新号発売開始!!

いよいよ7月30日に映画芸術の最新号(428号)が発売となります。今号では『時をかける少女』で注目を集めた細田守監督の新作アニメーション『サマーウォーズ』、そして『いつか読書する日』の緒方明監督が下町を舞台に新境地を開く『のんちゃんのり弁…

金子遊のこの人に聞きたいVol.6 <br>DVD「金井勝の世界」 <br>金井勝監督インタビュー PART2

『GOOD-BYE』 ――それでは『GOOD-BYE』(71年・16ミリ・52分)製作の経緯からお話下さい。 『無人列島』が完成して国内でもかなり評価されましたが、兎も角外国人には受けた作品で、彼らが居ると上映会場に笑いの渦が巻き起こりました。そんな時にスイスから…