映画芸術

脚本家荒井晴彦が編集発行人を務める季刊の映画雑誌。1月、4月、7月、10月に発行。2016年に創刊70周年を迎えました!書店、映画館、Amazon、Fujisanほかにて発売中。

2009-01-01から1年間の記事一覧

金子遊のこの人に聞きたいVol.5 <br>DVD「金井勝の世界」 <br>金井勝監督インタビュー PART1

今日は、映画作家の金井勝さんにお話をうかがいたいと思います。2009年2月に金井さんの全作品を収録したDVD「金井勝の世界」が発売されました。同年5月30日と31日には神田小川町のneoneo坐でほぼ毎年行われている金井勝の特集上映もありました。 金井さん…

試写室だより『あんにょん由美香』 <br>誰を嗤えばいいのでございましょうか <br>若木康輔(ライター)

去年の夏も同じようなことを書いたが、試写状が自分の住所宛に送られてくると、本当に嬉しい。おォ、オレを映画ライターと認知してくれる人がこの世に……と、いまだに感動する。いつだったか、キャメロン・ディアスの会見付き案内状を机に放ったらかしにして…

映芸シネマテークVol.2『PASSION』トークショー <br>濱口竜介(監督)、稲川方人(詩人・本誌編集部)、荒井晴彦(脚本家・本誌編集長)

3月3日に行われた映芸シネマテークVol.2の上映作品は東京藝術大学大学院映像研究科の修了制作として作られ、その後、東京フィルメックスやサンセバスチャン映画祭などのコンペ部門に出品されて話題を集めた『PASSION』でした。この日のトークショ…

『イエローキッド』 <br>ラッキーパンチはラッキーなパンチではない <br>近藤典行(映画作家)

まずは出し抜けに、二つの言葉を我田引水、ディレードスチールしてみよう。「いや、当たり前だと思う。密告者は密告する。泥棒は泥棒する。殺人者は殺人する。愛する者たちは愛しあう。……みてごらん、コンコルド広場はきれいだろ。」言わずと知れるほど引用…

20周年記念 映画芸術評論賞公募!!

1989年の秋、小川徹から荒井晴彦へ編集・発行が継承された小誌が、今年で20年目の節目を迎えました。この間のさまざまな困難に対して寄せられた協力者および読者のみなさんの支援に、改めて深く感謝いたします。 20年目にあたり、協力者・愛読者のひとりA氏…

「B級ノワール論」<br>吉田広明(著者)インタビュー

普段は映画の作り手にお話を伺うことの多い本サイトのインタビューコーナーですが、今回のお会いしてきたのは「B級ノワール論」の著者、吉田広明さんです。 「B級ノワール論」は昨年10月に発行された長編評論で、ジョセフ・H・ルイス、アンソニー・マン、…

試写室だより『幼獣マメシバ』『私は猫ストーカー』 <br>Oh!わんにゃん映画パラダイス~町のふもとで犬猫と暮らしている <br>若木康輔(ライター)

今春、「TVアニメを原作にした映画の評を、そのアニメを見ていない人が書くべきではない」という主旨のコメントを読んだ。インターネットの匿名掲示板ではなく、日本で最も歴史と権威のある映画雑誌で、である。批判を向けられた人を知っているので、ヤジ…

闘うドキュメンタリー映画時評(1) <br>『精神』『沈黙を破る』 <br>金子遊(映画批評家)

ビデオ・ジャーナリズムとドキュメンタリー映画 ビデオ・ドキュメンタリー映画の勢いが止まらない。フィルム撮影によるドキュメンタリー映画を目にする機会が少なくなって久しいが、代わりにビデオ・ドキュメンタリー映画は質と量ともに充実してきている。多…

荒井晴彦の映画×歴史講義・第4回 <br>『私が棄てた女』(69)×安保闘争

脚本家・荒井晴彦が映画とそこに描かれた歴史的事件について語る連載「荒井晴彦の映画×歴史講義」。本連載は日本映画学校脚本ゼミの卒業生を対象にした勉強会を採録したもので、映画『無能の人』などで知られる脚本家の丸内敏治さんがともに講師役を務めてい…

CO2 in TOKYO '09 <br>『ある光』高橋明大監督インタビュー <br>『こんなに暗い夜』小出豊監督インタビュー

6月6日(土)~12日(金)に池袋シネマ・ロサで開催されるCO2東京上映展を前に、昨年のオープン・コンペ部門でグランプリを争い、今回ともに企画制作部門の助成監督となった新鋭二人に話を聞いた。 一人は、現代の暗部に直面した人物たちが辿りつく微…

僕の『へばの』宣伝記 <br>加瀬修一(ライター/映画『へばの』宣伝協力)

そもそも僕は映画の宣伝などしたことがない。『へばの』に関わったのは、不思議な縁と好奇心から。そんな話が役に立つのかどうかはなんとも心許ないが、今後自分達で映画を公開していきたい人達に、「それくらいなら、俺達にもできるじゃねえか!」と思って…

『ジャイブ 海風に吹かれて』 <br>サトウトシキ監督インタビュー

瀬々敬久、佐野和宏、佐藤寿保らとともに「ピンク四天王」と呼ばれたサトウトシキ監督の名前は、ある年代の邦画ファンにとっては特別な響きを持っているのではないでしょうか。そんなサトウ監督の新作『ジャイブ 海風に吹かれて』がいよいよ6月6日(土)か…

ゆうばり国際ファンタスティック映画祭2009参戦記 Part 2 <br>『大拳銃』宮川ひろみ(主演)・大畑創(監督)Wインタビュー <br>デューイ松田(ライター)

今回のゆうばりファンタ、一番の大収穫だった『大拳銃』。元々鑑賞作品を選ぶ際に、『手が! 頭が!! 胸部が!!! 木っ端微塵にハジけ飛ぶ!!!!! ひとつの「確信」を得ることの出来た男が繰り広げる、短編自主アクションノワール映画』という、この2行のコピー一…

「東京学生映画祭」入選作を見る <br>西尾孔志(CO2映画祭ディレクター)/平澤竹識(編集)

「学生映画のススメ」 西尾孔志(CO2映画祭ディレクター) 店員A「店長、成瀬と清順が盗まれました!」 店員B「ひばりモノも3本やられました!!」 店長 「何ぃぃぃ、あいつら許せねぇぇぇ!!」 「学生映画」とは学生が撮った映画であり、つまりは20才前後…

雑誌のオンライン書店Fujisan.co.jpでも購入可能になりました!

3,000以上の雑誌を取り扱うオンライン書店Fujisan.co.jpで映画芸術の購入が可能になりました。映画芸術DIARYのバックナンバーページから最新号(427号)が購入できるようになるまでにはもうしばらく時間がかかりますので、購入を希望される方はFujisan.co.jp…

映芸ダイアリーズ座談会 <br>柳下毅一郎氏のブログ発言から、ベストテン&ワーストテンを考える

弊誌426号に掲載された「2008日本映画ベストテン&ワーストテン」に対しては、批判を含めた少なからぬ反響をいただきましたが、本サイト「映画芸術DIARY」ではこれまで一切の対応をおこなってきませんでした。その理由は、管理人が「映画芸術」を代表する立…

試写室だより『余命1ヶ月の花嫁』『60歳のラブレター』 <br>初夏の感動コレクション~手紙/それで自由になったのかい <br>若木康輔(ライター)

知ってましたか。厳しい批評をする媒体には、試写状を送らない会社があるそうだ。 へえ、と思いつつ、実話を基にした難病ものに、ハートフルなアラカン(還暦前後)世代応援歌を見た。 二本とも丁寧な仕上がりで、看板通りに、きちんと完結している。メジャ…

6月8日(月)の映芸シネマテークVol.3は 「桃まつり」の収穫まつり!!

6月8日(月)に開催する次回の映芸シネマテークでは、若手女性監督のオムニバス企画「桃まつり」をフィーチャー。昨年の「真夜中の宴」と今年の「KISS!」の上映作品から選りすぐりの秀作5本を一挙上映いたします。未見の方はこの機会に是非ご来場くださ…

ジュンク堂書店 池袋本店9階にて<br>映画芸術&nobodyジョイントブックフェア<br>「ゼロ年代日本映画考察」開催中!!

ただ今、ジュンク堂池袋本店9階芸術コーナーにて、映画芸術とnobodyのジョイントブックフェア「ゼロ年代日本映画考察」を開催中です(5月末まで)。両誌のバックナンバーはもちろんのこと、推薦書籍、関連書籍など数十種類の書籍を集めて販売しております…

ゆうばりバリューを味わい尽くせ! <br>ゆうばり国際ファンタスティック映画祭2009参戦記 Part 1 <br>デューイ松田(ライター)

それは『オーメン2』と『ゾンビ』から始まった 今にして思えば、豪気な叔母だった。小学生の姪を、『オーメン2』と『ゾンビ』の二本立てに連れて行くとは…。おかげで、ジャンル映画好きの立派な大人に成長した私。現在は、バイトしつつの韓流系イラストライ…

4月30日は映画芸術最新号の発売日です!!

映画芸術の最新号が明後日4月30日(木)に全国書店にて発売になります。今号は新シリーズ「ジャンルから見る私の映画史VOL.1 恋愛映画 外国映画篇」の特集を筆頭に、『ウルトラミラクルラブストーリー』の横浜聡子監督インタビューや初監督作『ガマの油』…

金子遊のこの人に聞きたいVol.4 <br>『酒場#7「汀」 渚ようこ新宿コマ劇場公演』『私小説』 <br>かわなかのぶひろ(映像作家)インタビュー

映像作家・かわなかのぶひろの動きに注目が集まっている。2009年4月、2本の映画上映が行われる。イメージフォーラム・フェスティバル 2009(新宿パークタワー・ホール、京都ドイツ文化センター)では、『酒場#7「汀」 渚ようこ新宿コマ劇場公演「新宿ゲバ…

金子遊のこの人に聞きたいVol.3 <br>DVD+BOOK『キセキ――gozoCiné』 <br>吉増剛造(監督)インタビュー

詩人の吉増剛造が2006年7月からパナソニックのビデオカメラを手に持ち、個人的な映画の試みを開始しました。いつしかそれはgozoCinéと呼ばれるようになり、今までにブラジル、熊野、アメリカ、奄美群島、東北などを経巡った撮影の旅が19本の短編映画として記…

荒井晴彦の映画×歴史講義 番外編<br>『国道20号線』(07)

脚本家・荒井晴彦が映画とそこに描かれた歴史的事件について語る好評連載「荒井晴彦の映画×歴史講義」。今回は番外編として、KAWASAKIしんゆり映画祭2008で上映された『国道20号線』のトークショーの模様を掲載します。映画芸術2007年ベスト・テンにて第9位…

金子遊のこの人に聞きたいVol.2<br>あがた森魚(映画監督・俳優・歌手)インタビュー

あがた森魚から目を離すことができない。 ミュージシャンとしては、2007年にアルバム『タルホロジー』を発表。「『惑星漂流60周年!』海上海底全国潜行オーシャンクロスロードツアー」と名づけて、2008年8月から12月末までの数ヶ月間、北は北海道から南は沖…

脱映画批評『buy a suit スーツを買う』 <br>市川準監督の遺作のこと。 <br>河野孝則(プロデューサー)

皆さんご存知のように、昨年9月19日、CMディレクターであり映画監督でもあった市川準監督が急逝しました。享年59才。あまりにも突然の死でした。 その市川監督の遺作が『buy a suit スーツを買う』になります。 ある日この映画について何か書いてくれと知人…

試写室だより『シャーリーの好色人生』『シャーリーの転落人生』 <br>もてる男はつらいよ シャーリーかもめ歌 <br>近藤典行(映画作家)

見終わった瞬間いろいろ語りたくて仕方ないのに、鮮明に瞬く細部だけが次々と点滅するだけで、全体として何をどう語ったらいいのか、はて、捉えどころがない。やっかいでなんとも語りにくい、そんな一続きではあるが確実に独立した二本の映画である。こうの…

脱映画批評『遭難フリーター』 <br>アートの閾、アクトの閾 <br>丹澤肇(会社員)

世界中で、ストリートは燃えている。 94年メキシコ・サパティスタの武装蜂起、99年アメリカ・シアトルでの反WTO闘争、01年イタリア・ジェノバでの反G8闘争……これらの反グローバリズム運動を中心として新たな世界的な連帯=運動体が生起している。グローバル…

映芸シネマテークVOL1『喪服の未亡人 ほしいの…』<br>渡辺護(監督)、井川耕一郎(脚本)トークショー

昨年11月に行われた映芸シネマテークの上映作品は、40年以上のキャリアを持つ大ベテラン渡辺護監督のピンク映画『喪服の未亡人 ほしいの…』でした。リアリティに拘泥しない俳優の演技と大胆な省略を用いた軽快な語り口は、リアリズム重視の演技や長回し撮影…

第5回シネアスト・オーガニゼーション・大阪(CO2)エキシビションを振り返る<br>平澤竹識(編集)

2月26日から3月1日にかけて大阪梅田のHEP HALLを会場として自主映画の祭典、第5回シネアスト・オーガニゼーション・大阪(CO2)エキシビションが開催された。この映画祭は歴史こそまだ浅いものの、『ウルトラミラクルラブストーリー』の公開を6月に控える横…