映画芸術

脚本家荒井晴彦が編集発行人を務める季刊の映画雑誌。1月、4月、7月、10月に発行。2016年に創刊70周年を迎えました!書店、映画館、Amazon、Fujisanほかにて発売中。

2008-02-01から1ヶ月間の記事一覧

『どこに行くの?』<br>粂田剛(助監督)インタビュー

「映画とは監督一人の力によって作られているものではありません。監督のイメージを具現化する優秀なスタッフがいなければ、優れた映画が生まれることもないでしょう」 この考えのもと、本サイトでは監督や俳優のインタビューのほか、スタッフ、映画人のイン…

■映画館だより『かつて、ノルマンディーで』<br>意義深い作品ながら、何かもう一つ物足りない……。

『かつて、ノルマンディーで』は敬愛すべきドキュメンタリー映画作家、ニコラ・フィリベール監督の4年ぶりの最新作です。 30年前に助監督として彼が参加しキャスティングなどを担当した、ルネ・アリオ監督の『私、ピエール・リヴィエールは母と妹と弟を殺…

■試写室だより『胡同の理髪師』<br>儚なさと、あるべきものの正しさの同居

『胡同の理髪師』は〈人間の生活の営みの基本〉を見せつけられる映画です。 この映画に登場する主人公は、役者ではなく、本当に93歳で理髪師をしているチン・クイさん本人なのです。 この老理髪師が早起きして三輪自転車で常連客を回り、出張して理髪師の…

■映画館だより『連続不倫2 姉妹相姦図』<br><春の本格ピンク映画>を見た

1月17日午後、新東宝映画のプロデューサーである福原彰の監督第二作『連続不倫2 姉妹相姦図』を新宿国際名画座で見た。あいにく立て看板には「監督・深町章」と間違って描いてあったが、れっきとした福原彰の監督作だ。でも、もしピンク映画の熱心なファ…

■試写室だより『KIDS』<br>大味にならず、意外と描写が丁寧な映画

『KIDS』は乙一の原作を映画化した、ファンタジーホラー人間ドラマといった感じの作品です。 人の傷を自分の身体に移植させる超能力を持つ小池徹平がある時街にやってきて、粗暴で喧嘩早い玉木宏と出会います。玉木は小池の特殊な能力を偶然行きつけのダ…

■試写室だより『スエリーの青空』<br>灼熱の大地に刻まれたブラジル映画の現在

ブラジルの国土の約半分を占めるアマゾンの熱帯雨林は世界的に有名だが、北東部に広がるセルタン(奥地)については意外と知られていない。ピアウイー、セアラ、パライーバ、ベルナンブッコ、アラゴアス、バイーアといった州の内陸部は降雨量が少なく、旱魃…

■試写室だより『人のセックスを笑うな』<br>137分のフィルムに貫かれた、しなやかで強靱な作家性

『犬猫』の井口奈己監督の新作。観る前は137分の長尺が気になったが、そんなことは関係ない充実作だった。