2007-01-01から1年間の記事一覧
映画会社が自社で権利を保有している作品を集めたDVD-BOXと違い、撮影所の後ろ盾がない場所で活動してきた石井聰亙監督のDVD-BOXリリースが困難を極めたことは容易に想像できるのではないでしょうか。1作ごとに違う体制で製作された作品の権利…
父方の祖父は特攻兵だった。出撃の二日前に終戦を迎えたので命は助かったのだが、その話は祖父の葬式で初めて知った。生前の祖父から戦争の話を聞かされた記憶はない。いつも野球の話ばかりしていた。『俺は、君のためにこそ死ににいく』では、戦争で生き残…
【問合せ先】 映画芸術編集部/有限会社 編集プロダクション映芸 〒101-0003 千代田区一ツ橋2-6-7 広瀬ビル3F 電話 03-6272-9710 FAX 03-6272-9711 メール eigei×y7.dion.ne.jp (×を@に変えて送信して下さい) 【採用情報】 正社員、契約社員の募集はござ…
マノエル・ド・オリヴェイラの新作『夜顔』は、かなり素晴らしい。なにがと言って、ブルジョワジーの高慢への冷たい侮蔑を、ウィットに富んだディティールで優雅に包装して差し出す、完璧なほどの底意地の悪さが素晴らしい。オリヴェイラという人は、驚嘆す…
工事中。
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前作『長い散歩』(06)がモントリール映画祭で3冠を受賞するなど、監督としての評価も高い奥田瑛二の最新作『風の外側』が公開される。下関を舞台に、悪事に手をそめる青年とオペラ歌手を夢見る女子高生の恋を描いたこの作品は、主役の女子高生・真理子を奥…
“The trick in life isn't getting what you want, it's wanting it after you get it. (人生の喜びは得ることではなく、得たものを大事にすること) 映画『めぐり逢い』のリメイク版で、老女が言っていたのを思い出した。思い通りにできることが幸せと言う若…
2006年は邦画の興行収入が約1079億円となり、21年ぶりに洋画の興行収入を上回りました。また、国内の映画館数も3000スクリーンを超え、映画の公開本数は過去最多の821本に達しています。こうした状況から、多くのメディアが日本映画界の活況を伝えましたが、…
落語家の青年を温かく軽妙に描いた『しゃべれども しゃべれども』が本年公開されたばかりの平山秀幸監督最新作は、またしても落語を題材にした作品でした。ということで、前回同様、落語家・夢月亭清麿師匠と演芸作家・稲田和浩さんをお招きして、映画と落語…
2006年7月、ポツドール特別企画として上演された『女のみち』は、撮影現場に集まったAV女優たちの人間関係をリアルに描き、高く評価されました。脚本・演出は溝口真希子。ポツドール旗揚げから役者・制作として参加。2000年には映像作品『はつこい』を主宰…
カーネーションのライブツアーを追ったドキュメンタリー映画だが、それだけではない「日本でロックバンドを長年にわたって続けるとはどういうことか?」という矜持が詰まった映画に仕上がっている。監督は、同じくバンドのドキュメンタリー映画で、東京スカ…
意欲作『ノワイエ』(公開タイトル『不倫中毒 官能のまどろみ』)を発表した吉行由実監督に話を聞いた。今までの吉行作品とは違った、艶かしさやエロさの追求などの新境地がうかがえる作品だ。
ちょうど一年前にハンガリーで大ヒットを記録した『君の涙 ドナウに流れ ハンガリー1956』は、とても複雑な映画だ。先を予想させない筋立てや細部に仕組まれた演出の仕掛けがどうこう、ではなく、見た後の感想に困るという意味で。 見た後の感想に困る映…
初めての六本木ヒルズ、初めての東京国際映画祭ーー 「ワールドシネマ」「コリアン・シネマ・ウィーク2007」を観る text by 川崎龍太(「映画芸術」スタッフ)
とても小さな、小さな映画。 それでいながら、心の琴線に触れる。 観ている間の気持ちが何とも切ない良作。 誰もが登場人物にどこかで共感できるからだろう。 ここで描かれる恋愛は普遍的なものである。
安寿と厨子王の物語を下敷きにした姉弟の物語『のんきな姉さん』が04年にテアトル新宿ほか全国で公開され、独特の映像世界が話題となった七里圭監督。その新作三本が11~12月に一挙上映されます。愛知芸術文化センターの企画による『ホッテントットエプロンー…
映画芸術が主催する上映会「映芸マンスリー」の11月~1月までの上映作品が決まりましたので、お知らせいたします。 11月は新東宝映画のプロデューサーである福原彰さんの監督デビュー作『ETUDE』(うずく人妻たち 連続不倫)を、12月は9月4日に亡くなられた…
邦画にはピンク映画というジャンルがあり、それは成人映画館で上映されることを目的として作られています。およそ1時間という上映時間の中でカラミのシーンを数回入れなければならないなどの制約もありますが、作り手が真摯に作品と向き合っているという点で…
学生時代、予期せぬことが起こると何かにつけ「CIAの陰謀か?」と口走る友人がいた。当時から集英社文庫で多くの著作が出ていた落合信彦なんかを読んでいた男だから、何となく陰謀史観的なことを好んで他愛無く口にしていたのだろう。 CIAの陰謀、なんて云い…
世界に目を向ければ、ゲイやレズビアンなどセクシュアルマイノリティーと呼ばれる人達を描いた映画は数多くありますが、日本でそうした作品が作られたり、一般の劇場にかかったりすることは稀です。 10月20日(土)からシネマアートン下北沢で公開される…
イップ・ウィンキン監督の『カンフー無敵』は、香港映画の新星、ヴァネス・ウーというアイドル的なスターを主役にした、『少林サッカー』『カンフーハッスル』に連なる香港活劇、という触れ込みのカンフー映画です。 時代設定は1940年代の上海。 ヴァネスは…
この映画は不思議なムードを持った映画です。 簡単に言ってしまえば、韓国でヒットしたいわゆる韓流ののタイ映画におけるリメイク作品でしょう。 それをTVの女性ディレクターが監督している……。 とくれば、日本ではもはやお馴染みの、昨今では邦画バブルの…
NHKのアニメシリーズとして今年の5月からスタートした「電脳コイル」のDVDが発売されました。 監督はスタジオジブリの劇場作品の原画参加や『新世紀エヴァンゲリオン』」の原画、設定、脚本などを担当してきた磯光雄。これが連続アニメ初監督作品なの…
映画雑誌の編集者は、作品の情報を知るために、日々、多くの宣伝担当者とやりとりをしているのですが、そのなかでもなぜか低予算の日本映画ばかり宣伝している人がいました。その人こそ、今回インタビューした山下幸洋さんです。なぜ山下さんがこの世界に飛…
『ミリキタニの猫』は去年の東京国際映画祭で上映されたときに大反響を呼んだ作品である。その前に世界中の映画祭で観客賞を始め、多くの賞を受賞していたわけだが、戦争によって人生を変えられた一人の男の生きざまを静かに見つめるプロデュサー兼監督のリ…
(1)タイトルについて まず思ったのは、映画の配給・宣伝を仕事にする人たちは大変だなあ、ということだ。 本作の原題は「バラ色の人生」。20世紀の大歌手ピアフの、光よりも影の濃かった劇的な生涯を映画にする上で、極めて申し分ないタイトルだ。全く…
今回は9月20日~24日に新作『遊び半分』を発表する中野成樹さんにインタビューをお願いしました。「中野成樹+フランケンズ」という集団を率いて活動する中野さんは、西洋古典劇を「誤意訳」と称する独自の方法で再生させ、注目を集めている存在です。…
映画館で映画を観ていますか? 先日行った映画館で、後ろの席に座った若い女性二人が映画の本編の上映が始まっているのにも関わらず、普通の会話をしていました。それは良くないだろう、と思って「話すのは止めてもらえる?」と優しく言ってみたところ、素直…
『そんな無茶な!』は、『牛頭』、『殺し屋1』などの脚本や『東京ゾンビ』の監督で知られる佐藤佐吉が今の邦画状況に叩き付けた挑戦状である。 「ヒットしさえすりゃいいんだよ」、「観客なんてアホだから、この程度の映画を観せてりゃ喜ぶんだよ」、「泣け…