2007-01-01から1年間の記事一覧
映画芸術DIARYでは本誌の性格上、基本的に映画に関する記事を掲載してきました。今後もその方針は変わりませんが、映画以外のジャンルでもすぐれた表現をされている方々を紹介したいと以前から考えていました。そこで、今回、初めての試みとなりますが、現代…
熊切和嘉や山下敦弘など気鋭の若手監督を輩出してきた大阪芸術大学からまた気になる才能が現れた。2005年のぴあフィルムフェスティバルで『トロイの欲情』が準グランプリを受賞し、9月15日から池袋シネマ・ロサにて新作短篇『屋根の上の赤い女』が公開される…
印象に残った作品をレポートします。 シアター・イメージフォーラムでの上映は8月31日までとなりますので、この機会をお見逃しなく! CHIN-GO!(映画中毒)
作品レポート/Aプログラム 『終わらせよう!』監督:ファン・チョルミン text by CHIN-GO!(映画中毒)
正直言いまして実に興味を引かないタイトルです。 しかしこの映画は主演が近作『恋愛適齢期』がそう悪くもなかったダイアン・キートンであること以上に、監督がマイケル・レーマンであることにちょとだけ期待を抱きました。 かって『ヘザース』や『アップル…
「もがけ、もがけ、もっともがかんかい」 美少年のモノローグがいつまでも僕の心にこだまする。 「ジャパニーズ・カルト・ムービーの金字塔」と言われ続けている映画がある。 その映画は毎年上映し続けてきた映画館を3年前に失い、まさに封印されてしまう危…
2001~03年にかけて制作されたインディーズ作品『演じ屋』は、既存のジャンルに収まりきらないストーリーや演出で他の自主映画とは一線を画し、全9話の連続もの(各話1時間程度)という斬新な試みで注目を集めた。そんな伝説的自主映画を監督した野口照夫の…
雑誌の日本映画特集で登場するプロデューサーというと、李鳳宇さんや角川春樹さんのようなカリスマ性がある方か、話題作・ヒット作を手掛けた方に話を聞くケースが多いように思います。もちろん彼らの話は刺激的ですが、刺激的である分、プロデューサーの仕…
『長江哀歌』の原題は『三峡好人』である…念のため 2006年ベネチア国際映画祭金獅子賞グランプリを受賞した中国のジャ・ジャンクーの『三峡好人』が、いよいよ『長江哀歌(ちょうこうエレジー)』という邦題で公開される。
ヴァンパイアを殺そうとするヴァンパイア。『ブレイド』の女版? と思いきや、それは違う。ルーシー・リューが演じるのは、人間とヴァンパイアのハーフではなくて、元人間のヴァンパイア。
大量に生産され消費されていく日本映画の中から、隠れた名作を紹介しようと始まった映芸マンスリー。5月14日に行われた1回目は、重松清原作「愛妻日記」シリーズの1本として製作された斎藤久志監督の『ホワイトルーム』を上映しました。 昨年12月に渋谷ユー…
『おやすみ、クマちゃん』は1975年から87年にかけてポーランドで104本つくられた人形アニメ。パジャマ姿のクマちゃんが寝室でその日にあったことをお話しする、という形式の各回約7分間のテレビ番組。今回の上映版は厳選された10のエピソードを日本語に吹き…
上映機会の少ない優れた作品を紹介しようと始まった映芸マンスリー。2回目の上映作品は、旧韮山町立南小学校高原分校が廃校になるまでの一年を、卒業生である太田綾花さんが記録したドキュメンタリー『花のこえ』でした。本作は武蔵野美術大学の卒業制作とし…
どうもすみません!今年4月に刊行され、早々に映画芸術編集部の方から渡されていた本の書評が、ひとえにこちらの勝手な都合で夏場にずれ込んでしまいました。 出版に携わった皆さんには恐縮至極なのですが、この夏には原田眞人監督三年振りの新作『伝染歌』…
『リトル・チルドレン』は世間では、見方によっては良い事やその人の若さの秘密とか魅力と言われたりもする「大人の中にある少年・少女の輝き」ってものにメスを入れている映画でしょう。 どんな大人の中にもある幼児性や子供っぽさが引き起こすさまざまな問…
モーツアルトの有名なオペラをケネス・ブラナーが映画化……と聞いただけで、まあだいたいどういうものになるか想像がつくというものですが、例によってこれまでシェークスピアを現代的に映画化してきたのとほぼ同じようなアプローチの仕方によって、かなり対…
「映画芸術DIARY」と同時に開始された月例上映会「映芸マンスリー」は、上映機会の少ない優れた作品を観客に届けようと企画したものです。これまで斎藤久志監督『ホワイトルーム』を皮切りに、太田綾花監督『花のこえ』、佐向大監督『まだ楽園』を上映してき…
『雷魚』(97)、『HYSTERIC』(00)、『YUMENO ユメノ』(04)などの脚本家として知られる井土紀州は、同時に『百年の絶唱』(98)や『LEFT ALONE』(04)といった異色作を手がける監督でもある。メジャーとインディーズの間を自在に行き来しつつ、脚本家と…
『「竹洞組」の冴えたやり方』と題した竹洞哲也監督×小松公典脚本の特集上映が「R18 LOVE CINEMA SHOWCASE Vol.3」として開催される。上映作品は2006年度の『PG』誌のピンク大賞ベスト10の1位の『恋味うどん』、2位の『短距離TOBI-UO』を筆頭に、『森鬼』『…
フランスの文豪バルザックの短編小説『ざくろ屋敷』が、70枚近い静止画に、俳優の台詞と音楽、そしてカメラワークにより、1篇の映画として見事に完成した。弱冠26歳、深田晃司監督の秘密に迫る。
知的障害者のサッカーワールドカップ 2006年大会に出場した選手たちと、大会の様子を追ったドキュメンタリー『プライド in ブルー』。デビュー作『棒』(02)でAV男優の青年と彼を取り巻く人々を描いた中村和彦監督が、劇場第2作となる本作で目指したものは…
幕末、徳川慶喜将軍の時代。妻夫木聡演じる主人公はお役も何も戴けていナイ暇な武士。お人よしの器用貧乏なタイプで、時代の流れに乗り切れていない無職、即ちニート。まぁ、よく考えるとニートだって悪者じゃないし、世間の波に呑まれた挙句の不器用人間な…
『H story』以来4年ぶりに製作された諏訪敦彦の長編映画『不完全なふたり』が6月30日より新宿武蔵野館ほかで公開される。パリを舞台にフランス人キャストと共に作られた本作は、ロカルノ国際映画祭で準グランプリにあたる審査員特別賞と国際芸術映画評論連盟…
本格サッカー映画が日本についに現れた 『プライドinブルー』は、日本映画史にほぼ初めて登場した、本格的なサッカー映画だ。 以前にSMAP主演の『シュート!』があったけど、あれはあくまで青春映画の題材としてサッカーを選んだ秀作と解釈したい。こ…
アメリカ映画らしい華やスリルがあって、なおかつ爽やかな後口の新作はないだろうか?すぐに銃を撃ったり、人が殺されたりしないもの…と思っている人にお勧めなのが、カーティス・ハンソンの『イン・ハー・シューズ』以来の監督作『ラッキー・ユー』だ。 ラ…
映画は1974年の東京・枝川の風景を映し出す。雑多で猥雑だが活気のある枝川の町並みのなか、主人公アンソン(井坂俊哉)の息子チャンス(今井悠貴)の笑顔をナメ(前景にし)て、後方でチマチョゴリ姿の女子学生たちが歩いている。わたしは胸が痛くなった。…
批評家であり近年は映画監督としての活躍も話題の藤原敏史監督に、土本典昭作品への思い、本作での試み、そしてこれからの活動について聞いた。
タナダユキ監督作品『赤い文化住宅の初子』のスピンオフ作品である本作は、主演・東亜優の上京から、主演映画出演までが描かれる。 映画の中で映画が作られていて、ドキュメンタリーのようでそうではない、不思議なリアリズムに包まれている。
日本初の国立映画大学院として東京芸術大学に新設された映像研究科の一期生が今春、2年間の修士課程を終えて卒業を迎えた。黒沢清や北野武といった現役のスター監督が教授に就任したことで話題を呼んだ大学院ではいったいどのような授業が行われていたのか。…
日本初の国立映画大学院として東京芸術大学に新設された映像研究科の一期生が、5月19日より渋谷ユーロスペースで始まる〈芸大映画週間〉において学外にその成果を問う。2年次に製作したオムニバス映画『新訳:今昔物語』の一篇『女の事情』で脚本を担当した…