映画芸術

脚本家荒井晴彦が編集発行人を務める季刊の映画雑誌。1月、4月、7月、10月に発行。2016年に創刊70周年を迎えました!書店、映画館、Amazon、Fujisanほかにて発売中。

7/7~7/13はポレポレ東中野へ!<br/>松浦祐也&青山えりな インタビュー

『「竹洞組」の冴えたやり方』と題した竹洞哲也監督×小松公典脚本の特集上映が「R18 LOVE CINEMA SHOWCASE Vol.3」として開催される。上映作品は2006年度の『PG』誌のピンク大賞ベスト10の1位の『恋味うどん』、2位の『短距離TOBI-UO』を筆頭に、『森鬼』『舞う指は誰と踊る』『思い出がいっぱい』の計5本。

その竹洞監督作品の常連俳優の松浦祐也と青山えりなをインタビューした。松浦祐也はピンク映画を拠点に、去年の『初恋』や来年公開の『実録・連合赤軍』に出演し、最近ではANAのCMで、妻夫木聡と共演している新鋭俳優だ。青山えりなは2006年度の「PG」の女優賞&新人女優賞をW受賞している期待の女優である。

──お二人が竹洞組に出演するきっかけは何だったんですか?

松浦 飲み仲間というか、いつの間にか知り合っていて出演するようになりましたね。きっかけはよく覚えていない。あえて高飛車に言えば「出演してやっているんだぞ!」と(笑)。居心地のいい現場だからもありますね。

青山 他の会社のピンク映画にも出演していたのですが、大蔵映画に出演するようになって、竹洞監督作品に出演したら松浦さんも言うように居心地がよかったんですね。

松浦 オレはもともと曽根晴美の付き人をしていたんですけど、映画にもっと関わりたくて、裏方から俳優になったんです。

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青山えりな

──松浦くんとは『フリージア』のエキストラで一緒になって知りあいましたが、その後の05年の「PG」の授賞式のときが凄かったですよね。ふんどしで出てきて、片金玉が出ていた(笑)。

松浦 あれは盛り上げようと思ってやったんですけど、やりすぎて逆効果でした(笑)。客席に両親も来ていたのですが、「息子の晴れ舞台を見に来たらこれかい!」と思ったらしくて、すぐに帰ったようです(笑)。

──『恋味うどん』でも暴走していますよね。ちょっと足りない役なんだけど、あきらかにやり過ぎている(笑)。裸の大将の山下清を意識しているのかとも思ったのですが。

松浦 あれは断じて、やり過ぎではないです! オレの演技はスタニスラフスキー形式のアクターズ・スタジオのメソッド演技なわけで(笑)。

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松浦祐也

──そんな松浦くんを青山さんはいかがですか?

青山 松浦くんと共演するのは楽しいから大好きです! 予測がつかないから「今度はどう来るんだろう?」って思っちゃいますね。

──『短距離TOBI-UO』では、ホテトル嬢の青山さんと松浦くんの共演シーンがありますね。プロレスフェチなのか松浦くんはミル・マスカラスみたいなマスクを被っている。加えて、『ボラット』みたいな食い込みすぎの水着を着ている(笑)。

松浦 あそこは即興ですね。青山さんと話し合って、ああいうシーンにしました。よかったでしょ?

青山 話し合ったのかなあ(笑)? 松浦くんのノリに押されて、ああなりました。とても楽しかったですよ。

──『恋味うどん』と『短距離TOBI-UO』は、前者がうどん屋、後者がホテトルの違いはあれども、女性が本来いた場所と別の場所に行って、いろいろ体験してまた去っていくという基本的に同じプロットですよね。いい意味で、竹洞哲也監督×小松公典脚本の作品はピンク映画の枠組みの中できっちり作っているので、俳優に自由度が高いことをやっても大丈夫なのだと思いましたが、その点はいかがですか?

松浦 だから、オレみたいな自由度の高いメソッド・アクターが必要なんです! 竹洞なんて、青森出身の田舎者ですから。こちらは埼玉だから、都会っ子です(笑)!

青山 女性を綺麗に撮ってくれるところが、一番好きですね。

──確かに綺麗に撮っていますね。『短距離TOBI-UO』では、終盤で逃避行みたいになって海岸にも行きます。

青山 とても楽しかったですよ。普通はピンク映画って撮影日数に制限があるので、遠くにあまり行かないけど、きっちりロケ撮影もあるんですよね。そこも竹洞組の魅力ですね。

松浦 『森鬼』なんて、冨士の樹海でロケですからね。

青山 あれは大変でしたよ。危ないと思ったから、わたしから裸足になったんですが泥だらけになりました。2月だったので寒かったなあ。

──『恋味うどん』の本屋のシーンでの松浦くんの妄想シーンはすごいですね。本屋でおかずを記憶するために勃起しながら、グラビアを凝視して独り言を言っていたら、本屋の奥さんと絡む妄想を見る。

松浦 あそこはお気に入りのシーンです。あの本屋は実家なんですよ。うどん屋だって親類の家だし。実はきちんと協力しています(笑)。

青山 本当に松浦くんの演技は楽しいですよね。

松浦 竹洞組はスタッフがしっかりしているから、きっちりとした作品ができるんですよ。監督の力だけだったら絶対ああいう作品は出来ない。撮影や助監督がいいんだ(笑)。

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『恋味うどん』

──竹洞組から離れた話題ですと、好きな映画にはどんな作品がありますか?

青山 マイク・リー監督の『秘密と嘘』が好きです。「どうなるんだろう?」と思わず最後まで見ちゃいましたね。『ヴァージン・スーサイズ』も雰囲気が良いので好きです。

松浦 意外と思われるかもしれないですけど、小川紳介監督が大好きで多摩美にいた時に上映会もして、プロデューサーの伏屋さんにも来てもらいましたね。黒木和雄監督も大好きです。亡くなってしまって本当に残念でした。是非出演したかったです。演技では、オリヴェイラの『家路』のミシェル・ピコリが大好きです。最近だと、ツァイ・ミンリャンの『西瓜』が良かったなあ。成人映画の話だから、青山さんも観たほうがいいよ!

青山 是非見ます!

松浦 あと、川島雄三監督が好きなんですよ。特集上映も行きました。

──川島雄三はいいですね。こちらも大好きな『しとやかな獣』なんかピンク映画で出来そうですね。

松浦 『洲崎パラダイス 赤信号』も大好きでピンク映画で出来そうですが、『しとやかな獣』は是非やりたいな。オレが小沢昭一の役で、若尾文子の役を青山さんで。・・・今思い出したけど、この間、他の組がやっていたような気もするけど、つまらなかったから、いいや(笑)。

──最後に一言あればどうぞ。

松浦 惜しくも亡くなってしまいましたが、『思い出がいっぱい』で共演した林由美香さんは最高の方でしたね。前貼りに香水をつけているんですよ。あれほど共演相手を気遣ってくれる女優さんはいません! 感動しました。最後になっちゃいましたけど、「映画芸術」は大好きで実家の本屋では3冊入荷させていました! 1冊はオレ用なんですけどね(笑)

青山 これからもピンク映画に出演していきますので、よろしくお願いします!

取材・構成=わたなべりんたろう(ライター)

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ピンクでポレポレ

R18 LOVE CINEMA SHOWCASE VOL.3

「竹洞組」の冴えたやり方。

上映スケジュール(2本立て)

7月7日(土)、8日(日)

『舞う指は誰と踊る』(公開タイトル『欲情ヒッチハイク 求めた人妻』)

『短距離TOBI-UO』(公開タイトル『ホテトル嬢 癒しの手ほどき』)

7月9日(月)、10日(火)

『森鬼』(公開タイトル『乱姦調教 牝犬たちの肉宴』)

『短距離TOBI-UO』(公開タイトル『ホテトル嬢/癒しの手ほどき』)

7月11日~13日(金)

『思い出がいっぱい』(公開タイトル『美少女図鑑 汚された制服』)

『恋味うどん』(公開タイトル『悩殺若女将 色っぽい腰つき』)

連日21:10~ ポレポレ東中野にて 

公式Web:http://r-18.cocolog-nifty.com/