映画芸術

脚本家荒井晴彦が編集発行人を務める季刊の映画雑誌。1月、4月、7月、10月に発行。2016年に創刊70周年を迎えました!書店、映画館、Amazon、Fujisanほかにて発売中。

2010-01-01から1年間の記事一覧

『春との旅』 <br>小林政広(監督・脚本)・徳永えり(出演)インタビュー

一昨年、『幸福 Shiawase』(08)の公開時に本サイトでもお話を伺った小林政広監督の新作『春との旅』が5月22日から公開されます。この作品は二人きりで生きてきた祖父と孫娘が、孫娘の失職にともない別離を余儀なくされ、祖父の新たな住処を求めて兄弟を訪…

「大阪アジアン映画祭2010」(一部)レポート <br>俺の発見全部でなんぼや <br>若木康輔(ライター)

3月、大阪へ出かけたついでに、〈大阪アジアン映画祭2010〉へ2日間だけ行ってきた。 見たのはアジア映画最新作の初上映が3本と、関連企画上映が2本。あと、特別シンポジウムを途中から。これだけを純粋にお客として見たのみなので、正式な映画祭のレ…

シリーズ「映画と労働を考える」第2回 <br>資金の循環

前回の「映画と労働を考える」第1回では、映画製作に携わる人間がどのような立場に置かれ、働いているか、実体験を交えながら書いてみた。 「1日20時間の労働」「最低賃金を遥かに下回る給料」「事前に提示されない金銭条件」「やりがいの搾取」、こういった…

4月30日(金)「映画芸術」最新号発売!!

4月30日(金)に映画芸術の最新号(431号)が全国書店およびミニシアターで発売となります。巻頭には『ケンタとジュンとカヨちゃんの国』の大森立嗣監督と青山真治監督の対談を掲載。阪本順治監督の『座頭市 THE LAST』公開に合わせた「座頭市、その再生と終…

自主アニメーションが紡ぎ出す濃厚ワールドへようこそ! <br>「ゆうばりフォービデンゾーン:ファンタスティックアニメスペシャル」

今年のゆうばり国際ファンタスティック映画祭。今回、最も“ファンタスティック”という冠に近い上映は、「ゆうばりフォービデンゾーン:ファンタスティックアニメスペシャル」枠として上映された『灰土警部の事件簿 人喰山』『眺めのいい部屋 境界線あるいは…

映画芸術もツイッターを始めました!

少しでも皆さんに映画芸術という雑誌を身近に感じてもらおうと、ツイッターを始めました。本誌やサイトでは紹介しきれない映画の情報や、編集部周辺の出来事などをリリースしていきます。今のところ、リリース限定でレスポンスはしておりませんが、たまにの…

映芸シネマテークvol.7 開催のお知らせ

6月1日(火) 『台湾人生』 『緑の海平線~台湾少年工の物語~』 日本統治下の台湾で日本語教育を受けた「日本語世代」5人の現在を追った酒井充子監督『台湾人生』、第二次大戦中に日本政府の募集を受け海軍の少年工となった台湾の人びとの記憶を辿る郭亮吟…

試写室だより『ただいま それぞれの居場所』<br> ドキュメンタリー映画評は書き終わらないっ<br> 若木康輔(ライター)

これから書く『ただいま それぞれの居場所』は、介護施設の現場に取材したドキュンタリーだ。見ている途中で、施設で働く若い人たちはみな忙しそう、でも充実していそうだと眩しく思い、映画を見る時間とかあんまり無いんだろうな……とも考えた。僕の観賞本数…

『おそいひと』『堀川中立売』 <br>柴田剛(監督)インタビュー

昨年の東京フィルメックスで賛否両論を巻き起こした2010年最大の問題作『堀川中立売』。今年、同作の公開を控える柴田剛監督に、『おそいひと』(04)のDVD発売に合わせてインタビューを敢行! 重度の身体障害者が殺人鬼となっていく様をモノクロの無軌道な…

R18 LOVE CINEMA SHOWCASE VOL.7 <br>『スリップ』(公開タイトル:熟女 淫らに乱れて)評 <br>那須千里(ライター)

映像で語られたものについて活字で何かを言うことにはどうしようもなく無理を感じる。映像には映像で返すのが一番合っているし、その分伝える力は強いから、書いていてもどかしかったり虚しく感じることがほとんどだ。それでも書くのは活字にしなければ伝わ…

闘うドキュメンタリー時評Vol.4 <br>『アメリカ ―戦争する国の人びと―』『Marines Go Home 2008』『One Shot One Kill―兵士になるということ―』 <br>金子遊(批評家)

ドキュメンタリーは嘘をつく 広く使用されている「ドキュメンタリー」という概念には、覆されるべき神話が2つほどあるのだと思われる。1つは、ドキュメンタリー作品がありのままの事実を提示する、という一般に流布している誤解である。もう1つは、ドキュ…

『眠り姫』『ホッテントット エプロン-スケッチ』 <br>七里圭(監督)インタビュー

2007年11月のユーロスペースでの公開から数えて4年目、東京では7度目のアンコールとなる映画『眠り姫』(07)の上映が3月27日~4月2日まで渋谷のアップリンクXにて行われます。また、それに合わせて、同じ七里圭監督の『ホッテントット エプロン-スケッチ』…

2009日本映画ベストテン&ワーストテン <br>加瀬修一(ライター) 金子遊(批評家)

1月30日に発売された映画芸術430号では2009年のベストテンとワーストテンが発表され、本サイトの執筆陣も「映芸ダイアリーズ」として下記のリストとともに選評を寄稿しました。 ベスト 1.ポチの告白(高橋 玄) 2.オカルト(白石晃士) 3.マテリアル&…

2009日本映画ベストテン&ワーストテン <br>近藤典行(映画作家) 千浦僚(映画感想家)

近藤典行(映画作家) ・へばの(木村文洋) ・SR サイタマノラッパー(入江悠) ・あとのまつり(瀬田なつき) 一昨年同様、去年の年末にも「映芸ダイアリーズ」といつの間にやら知らぬうちに命名されていた六人の男たちが新宿の街にぽつりぽつりと背中を丸…

2009日本映画ベストテン&ワーストテン <br>深田晃司(映画監督) 若木康輔(ライター) 平澤竹識(編集)

深田晃司(映画監督) ベスト ・ポチの告白(高橋 玄) ワースト ・ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破(庵野秀明) 単純に、昨年度見た日本映画で一番面白かった作品と、一番憤りを感じた作品です。つまり、両方ともエキサイトさせてくれたという点ではあまり変…

書評「ジャ・ジャンクー『映画』『時代』『中国』を語る」<br> 月光仮面は誰でしょう <br>若木康輔(ライター)

このサイトでは珍しい書評を書く。ジャ・ジャンクー自身の筆による本。 ジャンクーといえば。去年、招待されていたメルボルン国際映画祭で世界ウイグル会議のラビア・カーディル議長に取材したドキュメンタリーが上映されることに抗議、出席を拒否したニュー…

『スイートリトルライズ』 <br>矢崎仁司(監督)インタビュー

『風たちの午後』(80)、『三月のライオン』(92)などの伝説的なインディーズ映画を制作し、『ストロベリーショートケイクス』(05)で本格的に商業映画へ進出した矢崎仁司監督の4年ぶりの新作『スイートリトルライズ』が3月13日から公開されます。 日常の…

シリーズ「映画と労働を考える」第1回 映像労働者の現状

昨年か、一昨年前のことか、たまたま目にしたテレビの報道特集で、流行の「格差社会」について取り上げていた。取材対象は、ワーキングプアに陥ってしまったどこかの製造業の工員だったかと思う。 そこで切り取られる労働の過酷さ、対価というにはあまりにふ…

映芸シネマテークvol.6開催のお知らせ

3月2日(火) 上映作品『南京・引き裂かれた記憶』 日中それぞれの当事者が一九三七年の南京で起きた虐殺、強姦などの実態を語る証言ドキュメント。この作品を前にして、南京大虐殺の有無を検討することはもはや意味がないだろう。なぜなら、ここで発せられ…

『ランニング・オン・エンプティ』<br>佐向 大(監督・脚本)インタビュー

監督作『まだ楽園』(05)で注目された後、『休暇』(07/門井肇監督)や『アブラクサスの祭』(10/加藤直輝監督)の脚本を担当するなど、独自のキャリアを築きつつある佐向大さんの新作『ランニング・オン・エンプティ』が今月20日から池袋のシネマ・ロサ…

映画芸術最新号(430号)発売!!

1月30日より映画芸術の最新号が全国の書店およびミニシアターにて発売となりました。今号は毎年恒例の日本映画ベストテン&ワーストテンをはじめとして、10年目を迎えた東京フィルメックスにちなんだ特集や第一回映画芸術評論賞受賞作の掲載など、盛り…

DVD「ニューディレクターズ・シリーズ」<br>上原拓治(UPLINK)インタビュー

個性的な作品の配給、宣伝、制作、DVD発売など、幅広く活動し続けるUPLINK。2009年からリリースの始まったDVD「ニューディレクターズ・シリーズ」は、混迷を極めるソフトパッケージ市場で、ひと際異彩を放っている。「これからの才能を、いま後押ししたい」…

2009年日本映画ベストテン&ワーストテン

「映画芸術」誌の2009年日本映画ベストテン&ワーストテンが決定しましたので、ご報告いたします。配点の詳細および選評については1月30日発売の本誌430号に掲載されます。本年も「映画芸術」をどうぞよろしくお願いいたします。 ベストテン 1 愛…

金子遊のこの人に聞きたい vol.8 <br>躍動するイメージ。石田尚志とアブストラクト・アニメーションの源流 <br>石田尚志(美術家・映像作家)インタビュー

今回は国内外での映画祭や美術展での活躍が著しい、日本の実験映画・アニメーションの牽引者である美術家・映像作家の石田尚志氏にインタビューを試みた。現在、恵比寿の東京都写真美術館にて、「躍動するイメージ。石田尚志とアブストラクト・アニメーショ…

闘うドキュメンタリー映画時評 Vol.3 <br>『鏡の中のマヤ・デレン』『聖なる騎士たち:ハイチの生きた神々』 <br>金子遊(批評家)

これまで、このコーナーで映画時評の形式を借りながら、ビデオカメラが小型化・高性能化し、家庭用のパーソナル・コンピュータで手軽に映像編集ができるようになり、その恩恵を受けているビデオ・ドキュメンタリー映画を中心に考えてきた。ドキュメンタリー…

試写室だより・番外篇『マテリアル&メモリーズ』 <br>8ミリ殺人者の凱旋~誰でもわかる! はじめての原將人 <br>若木康輔(ライター)

感動とか共感をあんまり評価の基準にし過ぎないほうがいいぜ、と思うのである。 なんとなればそれは、作品が与える様々な知覚から自分の認識や経験値で整理できるものだけを取り分け、あとは捨ててしまう利害的な行為につながる。もちろん感動も共感も大切だ…