映画芸術

脚本家荒井晴彦が編集発行人を務める季刊の映画雑誌。1月、4月、7月、10月に発行。2016年に創刊70周年を迎えました!書店、映画館、Amazon、Fujisanほかにて発売中。

映画芸術PRESENTS <br>『アントキノイノチ』瀬々敬久監督 <br>公開インタビュー&プレス付きサイン会のお知らせ

antoki_main1.jpg (C)2011映画「アントキノイノチ」製作委員会  瀬々敬久監督の新作『アントキノイノチ』の公開(11月19日~)に合わせて、監督の公開インタビューとプレス付きのサイン会をタワーレコード新宿店で行なうことになりました。 11月9日(水)19時スタート  場所:タワーレコード新宿店 10階イベントスペース ※司会は編集部の平澤がつとめます。 ※1時間程度の公開インタビューの後、サイン会に移ります。 ※キャストの方が登壇する予定はありません。  『アントキノイノチ』は、さだまさしさんの原作を巧みに脚色しながら、監督が前作『ヘヴンズ ストーリー』で挑んだ「被害と加害」「生と死」のテーマに改めて取り組んでいます。主演をつとめた岡田将生さんと榮倉奈々さんの微細に移り変わる表情、それを捉える鍋島淳裕さんの手持ちカメラがそうした物語に迫真性を与えており、前作に勝るとも劣らない秀作と言えそうです。  10月29日発売の「映画芸術」437号では、瀬々監督と脚本家の小川智子さん、本誌編集部の稲川方人荒井晴彦による座談会を収録しました。その一部を紹介すると・・・ 稲川 さっき瀬々さんが性善説と言ったけれども、映画とか文学は人間を肯定する努力を今はやるべきだと思う。人間を否定するのは過去にいくらでもできたんですよ。それが二十世紀だったんで、人間否定、世界否定のやり方は割合みんな知ってるし、(略)そこからどう飛躍するかが今の問題だと思う。『アントキノイノチ』で瀬々さんがやった性善説というのは、やっぱり人間を肯定してますよね。(略) 荒井 (略)『アントキ~』の学校の人間関係とかネットを介したいじめとか見てると「嫌だなあ」と思うよね、前半は嫌なものを見てる感じがあるわけですよ。一方で俺は、子供たちのこういう世界書けねえな、よく瀬々は分かったなと思うし。最後に「人は死ぬときは一人なんだ」って台詞もあったけど、『ヘヴンズ ストーリー』よりも瀬々がこのところやってる加害と被害、生と死というテーマが明快に出てるなと思った。なかなか強度のある商業映画だなと。 瀬々 そういう意味では、渦中にいる当事者として作るんだという意識は最近あるんですよ。遠くから離れて見るんじゃなくて、作り手もその真っただ中で作らなければいけないという。  9日の公開インタビューでは、この座談会で議論された内容を踏まえつつ、『アントキノイノチ』について突っ込んだお話を伺いたいと思っています。ぜひとも映画芸術の最新号を事前にお読みいただいて、イベントに来ていただけると嬉しいです。オープンスペースでやりますので、「サイン会はちょっと・・・」という方も気軽に覗いてみてください。(編集部:平澤竹識) 〈イベントに関する注意点〉  イベントはどなたでもご覧になれます。但し、サイン会はイベント参加券をお持ちの方しか参加することができません。10月29日発売の「映画芸術」437号をタワーレコード新宿店10階にてお買い求めいただいたお客様に参加券を差し上げますので、サイン会への参加を希望される方は、同店にて雑誌をご購入のうえ、当日は参加券を忘れずにお持ちください。  サイン会では主催者側が用意した『アントキノイノチ』のプレス(限定30部)に監督がサインして差し上げる形となります。雑誌をお求めいただいた順(参加券の整理番号順)にご案内しますので、整理番号30番以降の方はプレスがご用意できないかもしれません。その場合はご購入いただいた雑誌にサイン致しますので必ずお持ちください。 瀬々敬久プロフィール】  1960年生まれ、大分県出身。京都大学文学部哲学科在学中に『ギャングよ 向こうは晴れているか』を制作。卒業後、向井寛が主宰する獅子プロダクションに所属する。89年、『課外授業 暴行』で商業監督デビュー。以降、『高級ソープテクニック4 悶絶秘戯』(94)、『黒い下着の女 雷魚』(97)、『汚れた女(マリア)』(98)など思想性を帯びたピンク映画によって評価を高める一方、『KOKKURI こっくりさん』(97)、『冷血の罠』(98)、『HYSTERIC』(00)などの一般作でも90年代の実存的不安を投影して映画ファンの熱い支持を得る。その後は、『MOON CHILD』(03)、『フライング☆ラビッツ』(08)、『感染列島』(09)などの商業大作を手がけながら、低予算映画やピンク映画の領域でも『ユダ』(04)、『肌の隙間』(04)、『サンクチュアリ』(05)といった意欲作を送り出す。フジテレビ「NONFIX」やTBS「情熱大陸」といったドキュメンタリー番組でも演出をつとめており、2009年にはバンドの現在に日本の戦後史を透視する大作『ドキュメンタリー頭脳警察』を発表。2010年公開の『ヘヴンズ ストーリー』はほぼ自主制作にもかかわらず、本誌ベストテンの一位となったほか、ベルリン映画祭では国際批評家連盟賞とNETPAC賞(最優秀アジア賞)を受賞した。 アントキノイノチ 監督:瀬々敬久 企画・プロデュース:平野隆 下田淳行  脚本:田中幸子 瀬々敬久 原作:さだまさし幻冬社) プロデューサー:上田有史 辻本珠子  撮影:鍋島淳裕 照明:三重野聖一郎 美術:磯見俊裕  録音:白鳥貢 編集:菊池純一 音楽:村松崇継 制作プロダクション:ツインズジャパン 配給:松竹 2011年/131分/カラー/ビスタサイズ/ドルビーデジタル 11月19日より全国ロードショー  【あらすじ】  杏平(岡田将生)は高校時代の人間関係が原因で精神に破綻を来たしていた。彼は父親(吹越満)の紹介で、遺品整理業者クーパーズで働くことになる。先輩の佐相(原田泰造)や同僚のゆき(榮倉奈々)と訪れた現場は、孤独な死を迎えた故人の、目を覆いたくなるような部屋だった。無縁社会と言われる世相を反映するかのように、遺族と故人の絆は失われている。そんな遺品整理の仕事を通して、杏平は自身の過去と向き合わざるをえなくなっていく。親友(染谷将太)を自殺から救えなかったこと、親友を自殺に追い込んだクラスメイト(松坂桃李)を殺そうとしたこと、被害者でありながら加害者でもあり、しかし結局は傍観者でしかなかった自分――。同じく心に傷を負ったゆきとの交流を通して、杏平は他者との絆の大切さに気付いていく。だが、ゆきは自分の過去を杏平に告白した直後、クーパーズから姿を消した。ゆきの居所を突き止め、会いに行く杏平。ゆきは杏平に「アントキノイノチ」の大切さを語るのだが・・・。 公式サイト http://antoki.jp/index.html 『アントキノイノチ』予告編