映画芸術

脚本家荒井晴彦が編集発行人を務める季刊の映画雑誌。1月、4月、7月、10月に発行。2016年に創刊70周年を迎えました!書店、映画館、Amazon、Fujisanほかにて発売中。

4月30日発売!映画芸術475号

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『狼をさがして』『きみが死んだあとで』をめぐって
1967年10月8日以後の新左翼の変容と敗北。60年代後半にはじまる学生を主とした革命闘争を見つめる2本のドキュメンタリーが、奇しくも同時期に公開。闘争の場に関わった人々の声、いまを生きる心象から何が聴こえてくるのだろうか。

『狼をさがして』
連合赤軍以後、70年代中期に爆弾闘争を展開した反日武装戦線の軌跡を追った『狼をさがして』。韓国人監督の真摯な姿勢の背景を聴く。
【インタビュー】キム・ミレ
人と人とが出会うときにはそもそも「反日」は存在しないのです

【レビュー】
明石アキラ なぜ誰も「東アジア反日武装戦線"狼"」を映画化しないのか
伊達政保 この国の現在に「反日」の意味を問う
太田昌国 ヒューマニズムとテロル 大道寺将司さんを追悼する 
『きみが死んだあとで』
1967年10月8日、当時の首相・佐藤栄作ベトナム訪問を阻止すべく多くの学生たちが羽田周辺に集結。機動隊との衝突の最中、弁天橋上でひとりの京大生が死んだ。苛烈な時代のはじまりを告げる死者の無言の声を追った長尺のドキュメンタリー、そのいみを探る。
【インタビュー】代島治彦
18歳の死者・山﨑博昭 われわれはそれ以後を生きている
【レビュー】
森達也 あの時代の多声性を構成するために
菅 孝行 山﨑博昭の死からの視界と〈その先〉について
【座談会】『きみが死んだあとで』を見終えて
あの日、羽田周辺の路上で何が起こっていたか
【座談会】『狼をさがして』『きみが死んだあとで』に映るもの
革命闘争の死者は聖化できるのか
亀和田武 絓 秀実 小野沢稔彦 荒井晴彦

『デカローグ』クシシュトフ・キェシロフスキ その魂の波状
キェシロフスキ生誕80年を機に公開される『デカローグ デジタル・リマスター版』全10話。繊細かつ自在な眼差しで人の様々な生の形を見つめる『デカローグ』の世界、集中特集
榎戸耕史 『デカローグ』再考 “映画の現在形”を訴えるキェシロフスキ
渡辺克義 『デカローグ』に現れる謎の男をめぐって
石川 慶 道しるべとしてのキェシロフスキ
田辺秋守 『デカローグ』そのアリストテレス的展開をめぐって
北小路隆志 『デカローグ』に見出す絶対的偶然性
ディアナ・ドンブロフスカ 私たちはみんな結ばれている
新作レビュー
明日の食卓
井坂洋子 母の狂気がないと子は育たない
いとみち
藤原奈緒 少女を通して世界を見つめる
海辺の彼女たち
相澤虎之助 窓口にて震える映画
ドリームランド
大野南淀 納屋に差し込む光
ビーチ・バム まじめに不真面目
いまおかしんじ 無頼派は早く死ぬ

緊急討議 日本映画の現在を問う!
誰が映画を決めて誰に向けて作っているのか
山田耕大 細野辰興 森重 晃 寺脇 研

インタビュー アリス・ウィンクール
取材・構成=魚住桜子

子供と離れる物理的な別れと、宇宙飛行士が経験する地球との別離。それは人間の関係性に似ています
映画たちよ!私たちのディスクール
北マケドニアから吹き寄せる柔らかな風に揺られて
川口敦子 児玉美月 岩槻歩 近藤希実

追悼、小谷承靖
上田正治 小谷の遺志「父の暦」
田辺秋守 日本映画大学での小谷承靖監督
小林竜雄 監督の”業”を見せてくれた
寺脇 研 高三の私に届いた一通の葉書
才谷 遼 サッソウと駆け抜けた
福本昭夫 故郷・鳥取での小谷監督
[再録] 小谷承靖 「父の暦」と私
岸野雄一 ある音楽プロデューサーの死をめぐって
追悼、ジャン=クロード・カリエール
荻野洋一 「愚かしさ」との格闘は最後の呼吸まで続いた
追悼、村山新治
村山恒夫 僕の叔父さん、映画監督・村山新治

映芸ジャーナル
『SNS-少女たちの10 日間-』『走れロム』『犬は歌わない』『ブックセラーズ』『藍に響け』『へんしんっ!』『ボディ・リメンバー』
柴垣萌子 菊井崇史 桝田 豊 近藤希美 武隈風人 大久保渉 磯田 勉
Book Reviews
椎根 和 近田春夫著、下井草秀構成「調子悪くてあたりまえ 近田春夫自伝」
青山真治 門間雄介著「細野晴臣と彼らの時代」
坪井里緒 蓮實重彦著「見るレッスン: 映画史特別講義」
編集部の一冊 金井美恵子著「〈3.11〉はどう語られたか 小さいもの、大きいこと」
連載
菅 孝行の戦後史 ことにおいて後悔せず
サエキけんぞうのシネマでカルチャー最前線
志村秀人 そこに風は吹いているか
邦洋★映画合戦 寺脇 研×荒井晴彦
雀の涙 春日信一
編集子雑言
荒井晴彦ノート