草の響き
場の可能性に執着する繊細な演出で人の姿を見つめ続ける斎藤久志、その最新作は、力作が揃う連作の1本となった。精神の暗部に苦しむ夫と、夫との重い関係に苦しむ妻。各シーンのディティールに潜む思いを聞く
【インタビュー】東出昌大
菩薩のような、怒っているのか悲しんでいるのか、冷めきった顔の純子に思わず身がすくんで、気が付いたらポロポロと涙が出ていたんです
【対談】斎藤久志+荒井晴彦
東出さんには何も指示していません。東出さんが出した答えをただ受け入れようと思いました。それがあの顔でした
【対談】菅原和博+荒井晴彦
佐藤泰志の小説と出会ってもう一つの人生を与えられたと思っているんです
ヴィム・ヴェンダース レトロスペクティブ ROAD MOVIES /夢の涯てまでも
1966年の最初の短編『ショウ・プレイシーズ』から55年。ヴェンダースがいま、映画の息吹を伝える
大森立嗣 都会のアリス 移動することとは何だろう?
藤本哲明 まわり道 拭われ続ける血、伝い落ちるままの涙
松本圭二 さすらい ああもう、何もかもめんどくさい
浅倉 奏 アメリカの友人 永遠ていう言葉なんて
川本 徹 パリ、テキサス「 テキサス、1868年」から『パリ、テキサス』へ
岡田秀則 東京画 ディズニーランドから引き返した人
マーサ・ナカムラ ベルリン・天使の詩 鏡に映る恋人
城戸朱理 都市とモードのビデオノート 過去にインスパイアされた現在から未来への動線がはじまる
冨岡悦子 夢の涯てまでも ヴェンダースの愛の叙事詩
隈元博樹 ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ BVSCという生活、あるいは邂逅について
インタビュー アルチュール・アラリ
小野田寛郎に惹かれるまで、僕は日本に行ったこともなければ、日本の知識も一切ありませんでした
(取材・文 魚住桜子)
新作レビュー
由宇子の天秤/空白
森 達也 脚本に他者の視線が欠けている
ONODA 一万夜を越えて
佐伯俊道 歴史修正ここに極まれり
愛のまなざしを
黒岩幹子 愛を断言するこの映画の強さ
ボストン市庁舎
鈴木一誌 映画は〈孤独〉を映せるか
水俣曼荼羅/ MINAMATA
菅 孝行 〈事実〉か〈情緒〉かが問われる
追悼 澤井信一郎 第一弾
澤井信一郎、『Wの悲劇』を語る
『Wの悲劇』シナリオ 完成版
追悼 千葉真一
内藤 誠 千葉真一と「マイ・ボーイ」のこと
深作健太 サン・ゴーズ・ダウン
追悼 小平 裕
梶間俊一 デビュー作『青い性』が出来上がった瞬間、人目も憚ず号泣した小平裕さん……その想いを考察しました
追悼 ジャン=ポール・ベルモンド
大森一樹 さらば、わが愛しの映画俳優ジャン=ポール・ベルモンド
山根貞男編「日本映画作品大事典」刊行
【刊行記念トークショウ】山根貞男+鈴木一誌+瀧本多加志
映画は静止体ではなく、動体です。この事典の記述に向き合うには、
徹底した孤独が必要です。これ以上孤独な本はもうできないのではないか。
武藤康史 作品解説こそがこの事典の仕事である
連載 映画たちよ!私たちのディスクール
世界を単純化しないために映画が考えること
川口敦子 児玉美月 岩槻 歩 近藤希実
映芸ジャーナル
MONOS 猿と呼ばれし者たち/COME&GO カム・アンド・ゴー/JOINT/
ボクたちはみんな大人になれなかった/Shari/なれのはて/スウィート・シング
武隈風人 菊井崇史 磯田 勉 髙木 愛 大久保渉 桝田 豊 柴垣萌子
Book Reviews
渡辺葉子 伊藤 雄著「観るか呑むか 湯布院映画祭酔狂譚」
坪井里緒 山根貞男著「東映任侠映画120本斬り」
向千衣子 代島治彦著「きみが死んだあとで」
鴻 英良/山内則史 菅孝行著「演劇で〈世界〉を変える 鈴木忠志論」
山内則史 安井国穂著「仮面の狂騒 警視庁機動捜査隊216」
桝田 豊 中野睦夫著「贄のとき」
花咲政之輔 児玉浩宣写真集「BLOCK CITY 増補版」
松崎まこと 中山信一郎著「泣き笑い映画とジャズの極道日記」
野崎 歓 魚住桜子著「映画の声を聴かせて フランス・ヨーロッパ映画人インタビュー」
寺脇 研 武田一義著「ペリリュー 楽園のゲルニカ」
編集部の一冊 金子遊・若林良・吉田悠樹彦 編「アニエス・ヴァルダ 愛と記憶のシネアスト」
連載
サエキけんぞうのシネマでカルチャー最前線
わたなべりんたろう アウト・オブ・スクリーン
菅 孝行の戦後史 ことにおいて後悔せず 最終回
志村秀人 そこに風は吹いているか
大木雄高「LADY JANE」又は下北沢周辺から
雀の涙 春日信一
邦洋★映画合戦 寺脇 研×荒井晴彦
編集子雑記
荒井晴彦ノート